第20話〜さらばエリンギ!埼玉へおかえり!
真坂さんはその小学生のあだ名に笑った。
「エリンギ…ふふっ。」
「何を笑ってんのよそなたぁ!これが勝者の微笑みというのね…くっ!」
それにエリンはブチ切れた。勝者の笑みは敗者の傷口に塩を塗っているようなもので、とても痛いし、腹が立つのだ。その隣の伊沢部長がエリンを立たせた。
「まぁまぁエリンギちゃん、もう帰るよ。」
「おっけーもう帰るんだね〜それじゃあまたね〜ばいび〜。」
伊沢部長とエリンは帰った、その背中にくみ先輩は手を振った。
もう夕方なって回りはすっかり暗くなっている、そろそろ帰らないとなぁ。そういえばこの辺りでは不審者が出没しているらしい。
「ちょっと伊沢部長今エリンギって言いました?酷いじゃないですか、一緒に戦った戦友だというの、に…」
「早く帰るわよ。所詮これは偵察にしか過ぎないわ、エリンギちゃん。」
エリンは伊沢部長の裏の顔は知っていてもやはり見慣れなかった。
「そ、そうでしたね。」
「3月の全国大会では負けたけれど準優勝よ、まぁまぁいいじゃない。それで今回の関東大会で潰せばいいんだから。」
本当の目的は優勝校のエースである真坂そなたと東山くみの実力とデータをじっくり知るためだった。
「でもあの東山くみっていう部長の実力が見れなかったのは惜しいですね…」
エリンはあの日本一と言われる東山くみのデータが取れなかった事に悔しがっている。しかし、伊沢部長は鋭い目つきで答えた。
「言っておくけどねエリンギちゃん。」
「な、なんですか、そんな怖い顔して。」
「あの人とは戦わない。そもそも戦ってはいけないの。」
エリンは彼女がなぜこんな事を言っているのか分からなかった。
いつも素晴らしいデータと内申点を気にする人なのに、日本一なんて絶対にデータが欲しいはずなのに。
「それってどういう事…ですか。」
裏の顔は終わり、表の顔になった。いつもの伊沢部長に戻って笑顔で言った。
「とりあえず明日からはGW観光だからね、私秋葉原でキャバクラを装ったメイドカフェをじっくり見たいわ。」
「楽しみ方独特すぎですよ。」
エリンは伊沢部長についていくしかなかった。そしてくみ先輩はクシャミをした。
「へっくしゅぃ!」
「花粉症ですか?5月に。」
真坂さんはくみ先輩にティッシュを渡した。
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