俺の片思いの相手が今日も可愛い
しららうる
第1話 生徒会室は今日も最高!
新校舎の2階1番奥の部屋。生徒会室だ。なぜ俺がここに訪ねているかというと───────
「よ、よお」
「はぁ、なんスか先輩。また来たんスか」
コイツは俺の中学の後輩、
でも俺の目的はコイツじゃない。
「柊は?」
そう、俺の目的は
俺の片思いの相手だ。
彼女も学校で有名な美人だ。勉強面も完璧で毎回テストでは1位を取り続けている。運動面は知らないが、体育祭でリレーの選手になっていたくらいだから足は速いのだろう。その上、面倒見が良くとても明るい。よく仲の良い子達とふざけあっている様子をみかける。俺はそんな彼女に恋をしてしまった。
「まだ帰ってきてないっスよー。今先生のとこ行って文化祭についての資料渡してるっス」
「お、そ、そう、だよな」
「はぁ、本当なんなんスか。毎日毎日ここに来て。そんなに志乃ちーと一緒にいたいなら帰りでも誘えばいいじゃないスか。あっしらも暇じゃないんスよ」
「いや、お前絶対暇だろ」
「なんでっスか⁉︎」
「だってお前、今優雅に野菜ジュース飲んでるじゃねーか」
「これ、昼ご飯っスよー」
「また何でそんなものを…」
「女の子は色々大変なんスよ」
「そうかい」
そんなどうでも良い話をしていると、ガラララとドアが開いた。
「うぅ、どうしよー美沙ちゃぁん。文化祭の企画、規模とか予算の関係で通らなかったぁ。先生ひどいよぉ……って
「よ、よお!」
可愛い!今日も可愛い!ちょっと涙目になってるとことか企画通そうと頑張ってるとことか全部可愛い!
「き、来てたんだぁ〜」
「志乃ちー、先輩15分くらい前に来てずっと待ってたんスよー」
「ばっ、ばっか!お前、それを言うな!」
「照れてる、照れてる〜」
「っっっっ、そ、それよりも文化祭の準備忙しいのか?」
「ああ、うん。私これでも生徒会副会長だし。しっかりしなきゃとは思ってるんだよね」
そうだ。彼女も叶と同じく1年生の頃から生徒会をしていて、1年の頃は書記、2年になってからは生徒会副会長をしている。副会長選挙で圧倒的な支持を受け、圧勝していた。もちろん俺は柊に入れたぜっ!こんなに可愛い子に入れないなんて殴り殺してやる!
「流石だな」
「い、いや。流石だなんてそんなっっ。そんなことないよっ」
「お、おう?」
「そ、そうだ。クッキーあったんだった」
クッキー?柊が俺に⁉︎ま、まさか手作りクッキーというやつでは…?
「はい」
「お、お土産?」
「うん。会長のお土産。いいよねー、ハワイなんて」
「あ、ああ」
手作りクッキーじゃなかった…いや、お土産でも全然いいんだけど!いいんだけどね⁉︎ちょっと期待してたっていうかなんていうか…べ、別に全然いいんだけどね⁉︎
「うわ、先輩残念がってる〜」
「べ、別に残念がってねーよ!」
「え、あ、ごめん。クッキー苦手だった?」
「いや、クッキー好きだぜ」
「そ、それなら良かったぁ」
「志乃ちー、違うよ〜。先輩は志乃ちーの手作りクッキーが欲しかったんスよ。ね?先輩?」
「お前はエスパーか!いちいち俺の心を読んでくんな!」
「え?」
「え?」
「えっ?」
「あー、さーせん先輩。冗談のつもりだったんスけど…なんかスンマセン」
え?──────あああああああああ、そういうことかよっ!俺、言っちゃったも同然じゃね?叶の言葉を肯定しちまったああああ。俺が柊が作ったものをめちゃくちゃ欲しいみたいじゃねえか!いや、まあそうなんだけど!そうなんだけどな?
「えっ⁉︎私のて、手作りクッキー?」
「あ、いや。あんまり気にしないでくれ」
「そ、そう?でも今度はて、手作りクッキー作ってくるね」
「あ、ああ」
そう言って柊は何か考え込んでしまった。何か言ってるけどよく聞こえない。
でもでも、手作りクッキーかあ。よっしゃあああああ
「はあ、こんだけバレバレなのに付き合ってないのかまじ不思議っス。あっしは何を見せられてんスか」
「ん?何か言ったか?」
「いや、何も言ってないっス。まあ頑張って下さいネ、先輩」
「お前、ここでいうなよ!もう帰る」
「え、もう帰るんスか?早くないスか?」
「もう、目的は達したからな」
「その言い方、なんかキモいっス」
叶の言ったことは無視して生徒会室を出た。最後に一言、柊に声を掛けたかったが、何か考え込んでいるようだったのでやめておいた。この場所は俺にとって最高の場所だ。よし、これからも柊に会いに毎日来るぞ!
──その後の生徒会室──
「え?え?手作りクッキーってどうやって作るの?小麦粉?小麦粉を入れたらいいの?バターも?ああっこういう時はやっぱりGoogleに頼るべきだよねっ!えーと?小麦粉、バター、薄力粉……」
「ま、まじスか、志乃ちー……」
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