第13話 魔素窟1階層未開拓領域の天使様
ミルハザーディンへの
『廉騎士団に、魔導剣士見習いタルヴィッカよ。
「「はっ」」
「「……はっ」」
未到達領域という女神様の御声に戸惑う向きもある中も、タルヴィッカ様と廉騎士団の方々は女神様に御意の声を揃えた。
女神様は
《リスタはウーリィだけを唱えていろ》
小さな魔から身を守るための、第二位階魔導ウーリィ。貴族院で魔導の道の入り口あたりをさまよっていたわたしにはお似合いの初等魔導かもしれない。
わたくしは静やかに、初等魔導ウーリィを唱えた。わたくしの周りを白く洗煉な光が取り巻いた。
気がつくと、タルヴィッカ様と廉騎士団がわたくしに再び跪いていた。思わず、恐る恐るにタルヴィッカ様をみたわたくしに、
「女神様、神々しくあられます」
と、タルヴィッカ様は瞳を潤ませながら、長い手を交叉され最上級の礼をなさった。
「……いえ、今のわたくしは女神様ではなく、若輩者のリスタリカにございます」
「女神様を顕現なされましたリスタリカ様こそが神々しくあらせられます」
いと尊きタルヴィッカ様に神々しくあらせられなどとお褒めいただき、わたしは倒れてしまいそうに……
《おい、リスタ。立ち止まったり倒れたりする暇はないからな》
女神様が厳しい声でおっしゃられた。
『ワタクシはこのまま、
「はっ、天上の至高の御方。何らの問題もございません」
鍛え上げられた身体をお持ちの廉騎士様はそう答えなされた。
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けれども、ミルハザーディンの廉神殿の導入可能な最大戦力を投入したのであろう、女神様率いるパーティは、桁違いのスピードで第一層の未到達領域に向けて爆進していった。時たま出現する魔物は文字通りの瞬殺だった。
聖魔導と化したわたしのウーリィの白き光をまといし女神様は、初見の
✧
『この壁を溶かせる者はありますか』
「わたくし
前に出て跪いた、屈強な廉騎士のお二方を目にした女神様は、
『許します』
とお声がけなされた。
✧
護衛の廉騎士を留め置いた女神様に命じられ歩を進めていったわたしの目に、幼くも神々しき天使様の御姿が映った。
『……ショコラ』
天使様の名を呼ばれた女神様は、天使ショコラ様を優しく抱きしめなされた。
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