第12話 女神様からの早朝のお達し
《……リスタ、リスタ、聞いているか……おい!》
……「はいっ、女神様っ!」
心の中からの、女神様の切迫したお声で、生家の寝所のわたしは飛び起きた。
《ミルハザーディンだっけか?! そのお隣の
「はいっ、女神様っ!」
わたしは、枕元の呼び鈴を鳴らした。
「お嬢様。何用でございましょうか」
まだ早朝であるはずなのに、側付きのエイラはすぐに寝所の側まで来てくれた。
「エイラ、女神様が今すぐにミルハザーディンの
その言葉だけで全てを察したエイラは、手配をし、わたしを着替えさせてくれた。
「お嬢様、いえ、女神様。準備が整いましてございます」
エイラのその言葉と共に、女神様はわたしに化体なされた。
『参りましょう』
女神様を化体したわたくしは、エイラを従え、庭へと出た。
朝日が射しはじめたばかりの庭には、お父様お母様と弟、そしてタルヴィッカ様と護衛騎士のイヴァンナ、そして、執事エンゲルブレクと使用人たちが跪いていた。
『朝早くにありがとう』
女神様は皆に声をかけられると、
『タルヴィッカ。ミルハザーディンの
「はっ。未だ見習いの身ながらも、魔導剣士を目指す者として尊い御方をお救いできるよう力を尽くさせてくださいませ」
タルヴィッカ様は頭を上げ、澄んだ眼差しでわたくしを見据えた。あぁ、わたくしにとってはタルヴィッカ様こそが尊い御方……。
『許します。向かいましょう』
「天上の崇高なる存在者様。尊き御方を無事お救いできますことをお祈りいたします。また、リスタリカの身体のことも何卒お願いいたしたく」
『母上様、ありがとう。リスタリカの身体は大事にお預かりましすね』
女神様は慈悲深い笑みをわたしの顔に浮かべられた。
✧
庭からの
女神様は尊い御方とお話なさるとのことだった。さすがは善政と理科の女神様である。一度も赴かれたことがないミルハザーディンの
関所には数名の騎士が控えており、わたし達が
「お初にお目にかかります、世の理を知る崇高なる存在者様。私どもは、ミルハザーディンの廉騎士団の者にございます。
『許します』
ミルハザーディン廉騎士団に先導され、わたしはミルハザーディンへの
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