シナリオ 淡き幻想の彼方へ

仲仁へび(旧:離久)

第1話



「プロット」


 現実世界とは異なる世界。

 魔法の存在する、中世ヨーロッパの文明程度の世界の話。


 子供の頃に、闇組織に両親と妹を殺された主人公の青年ミライは、仇を討つための旅をしていた。

 闇組織の拠点を探しては黙々と潰していくという、殺伐とした日々を送っていたミライはある嵐の夜に、協力者である幼児体形の女性軍人ロトと共に、闇組織の拠点へと辿り着く。


 そこは、古びた研究施設であり、廃棄されて一年程の年月が経っている場所であり、人が生活している気配はなかった。

 だが、中へ入ったミライ達は、そこで雨宿りしにきた男女を発見する。


 一人は記憶喪失であり、自分探しの旅をしているという内気な性格の少女パスカル。

 もう一人は、復讐の道に走るミライを止める為に、何度も追いかけて来ていた、幼なじみの青年ルル。


 偶然出会ったというパスカルとルルは、嵐の中で雨宿りする場所を探して研究施設へと辿り着いたと述べる。


 嵐が過ぎ去るまで数時間と見越したミライ達は、その建物の中で大人しく過ごす事にする。


 しかし、時間が少し経った頃、ミライ達は建物から出られなくなった。

 出入口や窓は締め切られ、建物内は完全に閉鎖されてしまっていた。


 追い打ちをかけるように、人ならざる化け物達……関節が奇妙な方向にねじれ曲がった亡霊や、多数の人間が融合しあったような亡霊がミライ達に襲い掛かって来る。


 それらは全て研究所で犠牲となった子供の亡霊だった。

 彼等は苦悶の声を出し表情を浮かべながら、やり場のない怒りをぶつける様に、生きているミライ達に嬉々として襲い掛かった。

 ミライ達は亡霊から逃げながら、建物から出られる場所を探す事にした。


 ミライは独学で学んだ銃の扱いで亡霊を退け、ロトは軍の訓練で得た鞭で、パスカルは自分探しの旅で身に着けた魔法で撃退。ただし、三人は戦闘能力も自衛の力も持たないクルオを守りながら、進むことになった。


 それぞれ仲間が途中で倒れながらも、ミライは一人だけ、厳重に封印された部屋へと辿り着く。


 その部屋には、過去を改変する効果があるとい う書物が存在し、これまでに研究施設に訪れた他の人間はその書物の効果を使って過去を改変し、「もともとこの研究所へは来なかった」という現実へ書き換えていた。


 ミライは書物へと手を伸ばし過去を改変しようとするが、脳裏をよぎったのは家族の事だった。

 ミライは、研究所へこないように過去を変えるのではなく、家族が助かったという現実に書き換えた。


 ミライの思念は声となり、過去の自分へと危機の到来を知らせた。

 そうして、子供の頃に闇組織に襲われ殺されたはずのミライの家族は、死ななかった事になった。

 その時の光景がミライには見え、目の当たりにしたミライは自分の選択は間違っていないと強く思う。


 その後、ミライは研究所へやってきた瞬間の時間へと巻き戻っていた。


 過去を書き換えたミライは、時がループしている事に気付く。

 そして、家族が死ななかった事で、ミライは復讐の為に研究所へ訪れたのではなく、旅の途中で嵐に見舞われ家族の……妹のファンと共に避難して訪れた、という現実になっていた。


 ミライは、ループ後である二回目の世界で、死ななかった事になった妹と、闇組織の調査を行う軍人として訪れたロトと、自分探しの旅で迷い込んだパスカル、薬の材料採取をしていて迷い込んだクルオに、ループの事情を話し、もう一度過去の改変を引き起こそうと動く。


 だが、研究所の内部の様子は変貌しており、覚えていた道順は役にたたなかった。

 なおかつ、復讐者でなくなったミライは武器である銃を持っておらず、襲い来る亡霊達に対して満足に抵抗する事ができなかった。

 ミライは目的地へと辿り着く事なく死亡する。


――主人公交代ミライ~ルルへ


 代わりに、パスカルやファンの励まし、ロトからの叱咤を受けて、ルルが過去改変の役を引き継ぐ。

 それぞれ仲間達の犠牲を出しながらも、ルルは厳重に封印された部屋に辿り着いた。

 ルルは書物で過去を改変しようとするが、パスカルが記憶喪失である事を気にして、目的としていたものとは別の過去を改変。パスカルが記憶をな くさなかった世界へと過去の事実を改変。


 数年前に(ミライの過去に関わっていた者達と同じ)闇組織によってパスカルは両親を殺され、その組織の人間に攫われていた。その時のショックで、パスカルは記憶を失ってしまっていたが、ルルの改変の影響で両親は生存し、パスカルが攫われなかった世界になる。パスカルの記憶は失われなかった。


 しかし(通算)三度目のループの世界でも、ただの旅人となったパスカルは、雨宿りをする為に研究所へ訪れていた。


 三度目の世界でルルは、以前のミライがしたようにその場に集まった者達ロト、パスカル、ミライへと、ループの事情を話す。

 一時は険悪な雰囲気になりかけるも、記憶がある事で明るい性格となったパスカルが場を取り直し、事なきを得る。


 一同は再度過去改変を行うためにまたもや様変わりしてしまった研究所の中を移動する。

 用心しながら書物のある部屋を探していくルル達だが、自分探しの旅で魔法の腕を磨く事がなくなったパスカルの影響で、すぐに仲間達がやられてしまう。


 ファンやミライ、ロトが死亡するなか、ルル達の目的地への到着が絶望的になる。

 だが、パスカルの励ましを受けて探し続けたルルは、苦労しつつも厳重に封印された部屋を発見


 気が進まないながらもパスカルを囮にして、重傷を負いながらも一人でその部屋に辿り着いたルルは、書物の前でまたもや過去改変について迷ってしまう。


 自分を助けてくれたパスカルと直前に交わした話を思い出すルル。

 パスカルが記憶を失ていない状態でも旅をしていた理由は、子供の頃に生き別れた姉ソニアと再会したいから、だった。


 自分を助けてくれたパスカルに対して何かをしてやりたいと思ったルルは、パスカルのそんな過去を改変してしまう。


 だが、重傷を負って意識が朦朧としていたルルは、どこをどんな風に改変したのか覚えていなかった。


 四度目のループの世界になった事に気付いたルル。

 しかし、そこには旅をする理由がなくなったにも関わらず、旅人として研究所にいたパスカルだった。


 腑に落ちない思いをしながらもルルは、今度も以前のループと同じように仲間達に事情を話し、その事によって険悪になった場の雰囲気をパスカルによってとりなされた。


 話し合いの中では、ルルに過去改変の役目を担わせるのは不適切という事になり、その役は再びミライへ譲られる事になった。


 これまでと同じように、様子を変えてしまった研究所内を移動していくルル達。

 だがルル は、幼ないじみであるミライがこれまでの世界では持っていない道具を持っている事に気づいた。


 それは、その世界に住む者に一台ずつ配給される端末という道具であり、ファンやパスカル、ロトやルルも過去改変で所持している事になった道具だった。


 その世界は、ルルの知っている世界は大きく様変わりしていて、文明はなぜか高度に発達。携帯端末という科学の道具で、電気や炎を発生させる事ができるようになり、魔法の存在はオカルト話で、古代のものという認識となっていた。


 そして、ルルは過去改変の結果をそこで知る事になる。


 パスカルが子供の頃に生き別れたという姉は、電子世界の存在となってミライの端末に住み着いていたのであった。


 思わぬ再会に感動するパスカルと、電子生命となった姉ソニア。


 自らが引き起こした過去改変によって様変わりする世界の結果に、ルルは目の前の再会に喜びつつも、心の内で戦慄せざるを得なかった。


 それからは、電子頭脳を兼ね備えたソニアの導きによって、過去の研究所内の様子を分析し、ソニアの予測を元にして、楽に研究所を進めるようになった。


 しかし、厳重に封印された部屋へと辿り着いた直前、ルルの意識は突然ブラックアウトしてしまう。



 ――主人公交代ルル~ロト



 研究所からの脱出ではなく、何度も私情を挟んで遠回りをしたルル。

 そんなルルは、突如狂戦士のように豹変し、身一つでミライ達に襲い掛かった。


 不意をつかれて倒れる仲間達の中で、一人生き残ったロトは、ルルに対して凶行の理由を問いかける。


 そこで判明したのはルルの別人格について。

 二重人格者であったルルの心には、もう一つの人格クルルがいた。

 クルルは、ルルが子供の頃に闇組織に捕まってしまい、その時に受けた時の拷問によってできた人格だという。


 クルルは研究所からの脱出を、確実に成功させるために出てきたと述べる。


 だが、信用できなかったロトは、クルルを倒して自らが書物を使用した。


 しかしルルに仲間意識を抱いていたロトは、研究所からの脱出ではなく、ルルが二重人格にならないように過去を改変する。


 子供の頃に闇組織に捕まらなかった事になったルルは、二重人格にはならかった。


 五度目のループ世界へとやってきたロトは、四度目のループ世界でルルが事情を話した時の事を思い浮かべた。

 私情を優先した結果、場がもめる事を懸念したロトは 、仲間達へ今までの事情を話さずに行動。

 研究所の出口を探すフリをしながら、書物のある部屋を探す事にした。


 ソニアのナビゲートを得て進みつつも仲間達の犠牲を払って、ロトは厳重に封印された部屋へと再び辿り着いた。


 しかし、そんなロトの元へ、ロトの知人である郵便配達員の男性グウェンから端末にメールが届く。


 グウェンの事が気になっていたロトは、その人物と付き合うために自らの低身長を改善しようと思った。


 ロトは誘惑に負けてしまい、軍人として厳しく訓練を積んできた過去を改変する。


 そうして六度目のループ世界では、苛酷な訓練を得て軍人とならなかったロトは、ただの一般人として身長をのばしていたが、亡霊に太刀打ちできずに死亡した。


 そこで、計六度に及んだループの歴史が途切れる。


 以降、何度かルル達は脱出を試みるも、全て空振りに終わってしまう。





 ループ開始前メンバーの状態

 ミライ「復讐者」

 ロト「幼児体形の軍人」

 パスカル「内向的な旅人」

 ルル「薬士」


 改変歴

〇ミライの妹が死んでいる   ミライ改変『ミライの妹ファン生きている』……パーティーに妹出現。戦力減少。

〇パスカルの記憶がない   ルル改変『パスカルのの記憶がある』……パスカルの性格が明るくなる。戦力減少。

〇パスカルが姉と再会しない   ルル改変『パスカルと姉ソニアが再会している』……端末(ナビゲーター)出現。

〇ルルが二重人格   ロト改変『ルルが二重人格ではない』……戦力減少。

〇ロトが子供・幼児体形のまま ロト改変『ロトが大人体形』……ロトが知人グウェンと付き合う。戦力減少。





 ――主人公交代ロト~ルル


 薬士として薬草材料を採取していたルルは研究所に迷い込むのだが、奇妙なデジャブを感じていた。


 何度もここに来た事があるような気がしたルルは、雨宿りしにきたその研究所内で、妹のファンと共に旅をしている幼なじみのミライや、姉探しをして旅をしているパスカル、趣味で旅行していたロトと出会う。


 彼らは全員不思議なデジャブを感じながらそこに集まっていた。


 怪訝に思いながらもルルは達は、研究所内に閉じ込められ、閉鎖されたその場所から脱出する為に、子供達の亡霊から逃げ、建物内を走りまわる事になる。


 端末ソニアのサポートを受け、何とかルルは一人、厳重に封印された部屋に辿り着く。


 そして、その部屋に辿り着くまでに仲間達から聞いたデジャブの話と、書物に遺されていた 情報を元にして、自分達が過去改変によって現実を書き換えていた事を知る。


 ルルは、ファンが生きていて、ミライ達が幸福である今の幻想のような世界から、辛く過酷な現実の世界へ戻る事を決心した。


 どう過去を改変しても、研究所に来てしまう事を知ったルル達は、まず自分達の戦力を元に戻す事にした。


 そして、ルルは再びループの輪へと飛び込んで行く。


 ルルは今度は仲間達に事情を話すことなく行動していく。


 ロトの過去を戻し、自分を二重人格にし、パスカルとソニアの再会を無かった事にした。


 パスカルとソニアのデジャブによって判明した事実は驚くものだった。


 パスカルとはぐれたばかりの頃のソニアは、もとから少々の空間の歪みがあった研究所の近くを通った際に、過去の時代に飛ばされてしまっていた。


 空間の歪みは、その研究所で行われる非道な実験の影響だという事が分かる。

 建物内から聞こえてくる悲鳴が発生する度に、歪みが大きくなっていくのが判明。

 研究が行われ続けた末に、研究所の閉鎖空間が出来上がったとルルは仮定した。


 ルルは過去改変によって、ソニアの事故が防がれなかった世界へと変える。


 それからも、パスカルの記憶が失われなかった世界から失われる世界へと改変し、徐々にパーティー内の戦力を上げていく。


 それぞれの改変でルルは、ロトの恋道を応援する事を、自分の二重人格の抑え方を探す事を、パスカルとソニアが再会できるように協力する事、そのパスカルの記憶が戻る様に協力する事を心の中で約束した。


 端末が失われた以降の世界では目的地にたどり着く移動時間が長くなり、暗い性格に戻ったパスカルは荒れた場をとりなす事ができなくなる。


 そして、最後にルルの幼なじみであるミライの妹、ファンや家族が死んでしまった世界への改変にとりかかる。


 しかしそこで、デジャブによって記憶を取り戻したミライが立ちはだかり、仲間割れが起きた。


 ルルは、二重人格を苦心してコントロールしながら、ミライと戦い、辛い現実を受け止めて、前に進む様に説得。

 ルルは、ミライをこれからも支えて共に歩き続ける事を約束し、最後の過去改変を行った。


 再びループしたルルは、戦力の揃った状況で本格的に研究所からの脱出方法を模索する。


 しかし、研究所の出口はどこにも見つからない。


 そんな中、研究所内で見つけた壊れかけの模型からヒ ントを得たロトが発言する。

 ロトは、屋敷からの脱出を目指すのではなく、迷い込む屋敷そのものを無くす方向で動くべきだと言った。


 ルルはその場にいる全員に、この屋敷にまつわる因縁や理由がある事を把握していた。


 ミライは両親や妹の仇を打つという因縁。

 ロトは軍人として正義の心に従って行動している理由。

 ルルは幼なじみであるミライの行動を止める為に動いているという理由。

 パスカルは両親を殺されれ、記憶を無くす事になった因縁。


 ルルは、研究所が正常に機能していた時に全員が訪れて、研究所を潰そうと考えた。

 そうすれば研究所が閉鎖空間になる事にはならないはずだった。


 ルル達はさっそく研究所が潰れる一年前に、仲間達をこの場に集める為の方法を相談する。


 そしてルルは自分達ではなくロトの知人であるグウェンの、手紙の配達員の過去を改変し、過去の自分達へ今から一年前に「研究所に集まる」ように仕向ける手紙を送らせた。


 そうして過去を改変したルル達は、デジャブの夢で研究所に乗り込んでいく自分達の姿を見ながら、次の世界へと旅立った。


 気が付いたルル達は、建物の残骸だけが残る場所へと立っていた。

 閉鎖空間は出現していなかった。


 前の世界の記憶を有していないミライから事情を聞けば、そこで亡くなった子供達を悼むために集まったという。

 

 用を終えてその場を後にしようとしたルルは、最後に子供達の邪気のない笑い声を聞いた様な気がした。





 ループ開始前メンバーの状態

 ミライ「旅人」

 ファン「旅人」

 ロト「大人の一般人」

 パスカル「明るい旅人」

 ルル「薬士」


 改変歴

〇ルル改変『ロトを子供に戻す』……ロトが知人グウェンと付き合っていない。戦力上昇。

〇ルル改変『ルル(自分)を二重人格へ戻す』……戦力上昇。

〇ルル改変『パスカルと姉ソニアが再開しない世界へ戻す』……端末消失。

〇ルル改変『パスカルの記憶がない世界へ戻す』……パスカルの性格、暗くなる。戦力上昇。

〇ルル改変『ミライの妹ファンが死んでいる世界に戻す』……パーティーから妹ファン消失、戦力上昇。


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