中級
今からやるのは、中級魔法の、無詠唱での発動だ。多少難易度は上がるかも知れないが、結局の所やることは変わらない。
もう一度、詠唱ありで発動してみて、消費魔力量を測定したところ、消費魔力量は100だった。まあ妥当なところではないか?
また、さっきのように深呼吸を行ってから魔法のイメージを固める。長さは俺の背丈程で、威力はホブゴブリンを一撃で倒せるくらい……無理があるかもなぁ。ああそんなこと考えるなッ! ……消費魔力量は100。
それが俺の目の前に現れて、真っ直ぐに飛んでいく……どうだ?
「どうだった? ちゃんと発動出来ていたか?」
「出来ておったぞ。次は上級……といきたいところじゃが、それは詠唱ありでの発動が出来るようになってからじゃな。」
「まあ、その通りだな。日も沈みかけているし、今日はここまでにして帰るか?」
「そうじゃな。では、転移の魔道具を使うからこっちに来るのじゃ。」
「あ、すまん。俺から言い出しといて何だがちょっと待ってくれ。やりたい事がある。ほんの少しだけだから。な?」
「まあいいぞ。何をする気じゃ? またわしと戦うのかの? それならお断りじゃぞ?」
「違う違う。」
俺は、魔法を食らってもピンピンしているあの木へと、その足を進めた。
そして、手を伸ばせば届くほどの所まで近づいた俺は、その木を『酸弾改』でボロボロにした。
大きくえぐられたその木は、自らの重みに耐えきれず倒れた。達成感に浸る俺。
「勝った…………」
「うわぁ…………可愛げが無いのう。」
それだけでは終わらない。俺は『水魔法』で生成した、人間相手に使っている回復薬をその木にぶっかけた……さて、どうなる?
その瞬間、その木の切り株みたいな所から新たな幹が急激に伸び始め、俺が倒す前よりも更に高くなった。マジか……これって植物にも効くんだな……。
「これは凄いのう。あんな状態から、一瞬でここまでの物にするとはな……まあ、わしもやろうと思ったら多分出来るじゃろうが。」
『へぇ、出来るのならば、この場でやって見せてくれ。』と、言いたくなるのを我慢して、彼に問いかける。
「さて、俺の用事は終わったぞ。今度こそ、帰るか?」
「そうするかの。転移の魔道具を使うから、こっちに来るのじゃ。まあ、置いてきぼりにされたいのなら来なくてもよいがの?」
「されたくないに決まってるだろ。そもそも帰ろうと提案したのは俺だぞ?」
「わかっとるわい。ほれ、ちゃんと入ったかの?」
「入ってるから、転移を頼む。」
「わかった。『繋げ、抜かせ、着かせ』。」
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