-53- 「大迫商事 その2」

 大迫商事の一件を久しぶりに思い出して、気になったからおじいちゃんに聞いてみた。


 あのビルは、元々は普通の会社だったんだけど、ある日社員の一人が首を吊ると、それに続いて他の社員も次々と首を吊る様になったらしい。


 それで、社長がおじいちゃんに電話で泣きついて来たけれど、次の日おじいちゃんがその会社に行ったら、その社長と、まだ生き残っていた社員全員、皆で首を吊っていたから、慌てて逃げ帰ったそうだ。


 その後、そのビルは誰もいなくなって立ち入り禁止になったけど、中に入り込む人間が後を絶たず、ホームレスや失業者、ヤンキーなんかが次々に首吊り死体で見つかったらしい。


 中には、小学生の子どもも混じっていたそうだ。


 あれは、最初に首を吊った者の怨霊とか、そんな次元の話じゃなかったらしい。


「何処ぞの神に祟られたんじゃろ。足を踏み入れた者は即ち首を吊る、そう言う場所になっておったわ」


 おじいちゃんはそう言って話を締め括り、僕は心底ゾッとした。

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