-43- 「雨の日の透明人間」

 雨の日にだけ見かける怖いイキモノ。


 いや、透明だから姿は見た事ないけれど。


 多分、雨の日に外をうろついて、獲物を見付けると後を尾ける。


 後を尾けられているか確かめる方法は、いくつかある。


 乾いた地面の上を通ると、そいつの濡れた足跡が地面に付く。


 水溜りの上を通ると、そいつも水溜りを踏んで水が跳ねる。


 砂利道を通れば、音がする。


 透明だから分かりにくいけれど、独りぼっちの子どもを狙っているらしい。


 誰か別の人と一緒に居たり、建物の中に入ってしまえば、それ以上は尾いて来ない。


 そう言えば、子どもが居なくなったと言う話は、雨の日に多い気がする。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る