■ 皇室に混じる「異物 」

いにしえより海に囲まれた小さな島国は何よりも自然の脅威を恐れ、人間の力では制することのできない自然を神々と並べて崇拝した。災いに見舞われた時は神の怒りを鎮めるべく祭(祀り)を奉納し、民の心を一つにして苦難を乗り越えてきた。

民の間に争いが生じた時は代表を立てて雌雄を決する。大将が討たれればそこで勝負は終わり、勝った方は敗れた者を思いやる。戦が長引けば『天皇』のみことのりによって和睦が結ばれた。限られた国土の中で、民が仲良く暮らすための知恵であろう。

一千三百年の昔、天皇家を神々の子孫として位置づけたことで、『万世一系』平和な我が国のいしずえが築かれた。以来、天皇家はこの国の様々な歴史を背負いつつ今日に至っている。


第二次世界大戦の敗戦を経て昭和天皇による「人間宣言」が行われ、以後は日本国憲法のもと、この国の『象徴』として在らせられることとなる。

天皇陛下をはじめ皇室の方々は、常に国民に寄り添ってこられた。災害が起きればいち早く現地に出向かれ、被災者に温かいお言葉を掛けて頂いている。それは何よりの救いであり、それ故に国民は陛下や皇室を敬い慕うのである。

皇室には日本の『象徴』としての“大義”があり、皇族の皆様は生まれた時からその重みを背負われている。それは大変なことだと心から思う。しかし人間宣言がなされている以上、皇室に生まれたことは既得権でもなければ束縛でもないはずである。


さてK氏についてであるが、筆者はその“人となり”を知らない。しかし、皇室に欠かせない「民に寄り添う」行動を放棄した、これは事実である。即ち、皇室にとって

“異物”であることは明らかであり、当然のこと、国民の理解・祝福など得られるわけがない。

だからと言って結婚に反対や批判をするのは筋が違う。祝福するかどうかは別として、結婚は誰しもが与えられている権利なのだから。

筆者が受け容れられないのは二人が結婚することではなく、K氏が皇室と関わりを持つことである。結婚とは家と家の姻戚関係を結ぶもの、このまま皇室から嫁いだのではK家との間に姻戚関係が成り立ってしまうではないか。


Mさんが皇室の大義に優先してご自身の権利を求めたいのであれば、まずは皇籍から離脱して然るべき民間家庭、例えば母方のご実家の養女となってK家に嫁入りするなどという選択肢は無かったのだろうか。これならば皇室が直接K家と姻戚関係になるのを避けることができたはずである。

皇室は国民の年貢によって成り立っている。故に一時金を辞退されるという判断であろうが、それが餞別となって皇室とK氏との縁が断ち切れるのであれば国民にとってお安いものだ。願わくば26日の会見で、「これからは皇室と関わることなく、二人で力を合わせて頑張ります」とでも言って頂ければ、素直に応援しようという気持ちにもなれるのだが。


筆者は皇室とは何の所縁ゆかりもなければ、法に携わる者でもない。ただ国民として譲れないのは、皇室に異物が混入しては一千三百年続いた天皇家の存在意義そのものが崩壊してしまうということ。言い換えれば、民に皇室を敬慕する気持ちが失せてしまっては、この国に“皇室”そのものが成り立たなくなるということである。



  ※ 既にお気づきのことと思いますが「Mさん」「K氏」とした呼称について、

  報道でしか存じ上げないお二人を実名で記すのはどうかと思いイニシャルと

  致しました。また、M様とお呼びすべきという方もおられるかとは思いますが、

  皇室よりもご自身の権利を優先した方に“様”を付けて敬う気持ちにはなれず、

  同じ国民としてMさんと呼ばせて頂きました。K氏については本人が法的に問題

  を犯しているわけでもないので、呼び捨ては失礼かと思いK氏とさせて頂いた

  次第であります。ご無礼の段、平にご容赦下さい。



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