うちの姉が最強すぎる理由~異世界修業録~

月詠穹

西蓮寺家の日常

第1話 西蓮寺家の日常1 無双な姉は如何ですか?

登場人物紹介1


姉 西蓮寺 響(ひびき)(18)


弟 西蓮寺 将(しょう)(16)


妹 西蓮寺 茜(あかね)(12)


父 西蓮寺 真(まこと)(43)


母 西蓮寺 凛(りん)(??)


とある日本の城下町、古くからある代々武道を生業にしてきた、西蓮寺家。道場は基本剣術だが柔術を合わせて戦う古武道剣術。

一般に知られる剣道ではなく、あくまでも実戦で扱う戦闘術。

基本、稽古では竹刀ではなく、木刀と要所を保護する防具のみ。

ただ最近は一般門下生は型のみの稽古や試合では竹刀と剣道着を使用する。

あくまでも一般人の稽古のみ。

師範以上の稽古は昔から変わらない。

ましてや、道場主である西蓮寺家直系の稽古ともなれば、、、、。


西蓮寺道場 朝稽古中


ドカッ!!


木刀共々、道場稽古で壁まですっ飛ばされた少年。


反動で前に倒れこむ。


その正面に無行で立つ少女。

長い艶やかな黒髪を後ろで束ね、凛と澄んだ声で言いはなつ。

「なっていませんね。いつも以上に弛んでいますよ!将!」

「イテテ、いや昨夜遅くまで試験勉強してたから、、、」

起き上がりながら木刀を取り言い訳を言う将。


「理由になっていませんね。そもそも本当に勉強かも疑わしいです」

冷めた眼差しで無情にも弟の言い分を一刀両断する響。

「あー。そう言えば、昨夜遅くまでゲームの音漏れてたよ?お兄ちゃん」

見とり稽古していた茜が笑顔で追撃。

「ウソ言うな茜!だいたい昨夜はちゃんとヘッドホンをしてたから!・・・あっ・」

言ってから、しまったと響の方を見る将。


「やはり、そうでしたか。これはいつも以上に指導が必要なようですね」


すいっと、間合いを詰めて木刀を正眼に構える響。


「ね、姉さん、話せばわかるから、、ちょっ、ちょっと待って」


「今は稽古中です。問答無用!」


ドカカッ!!!


再び、先程以上に勢いよくすっ飛ばされる将。


「あっ、そっか。お姉ちゃんによく飛ばされるから、お兄ちゃん、受け身は上手いんだねー。そっかー」


「全然、嬉しくない・・・・」

そのまま、グッタリと倒れこむ将だった。


西蓮寺家母屋


武家屋敷に似つかわしくないシステムキッチンを、縦横無尽に動き朝食の支度中の凛。

すると、道場からドカカッ!と、衝撃音が聞こえてきた。


「あら?そろそろ朝稽古終わりかしら~。急がないとね。真さん、そろそろ朝食ですよ」


「ああ、わかった」

リビングで新聞を読んでいた真が顔を上げる。

食卓の指定席に座ると凛に話しかけた。

「凛、そろそろ子供達に話そうかと思うが、どうだろう?」

テーブルに朝食を並べていた手を止め、真を見る凛。

「そうですね、良いと思います。」

先程までの、のほほんとした雰囲気は無く、話し方も変わった。

「あなたの思うままに。私は賛成です」

「わかった。今夜にも話そう。渡す物もあるしな」

「はい、あなた」

「君には、感謝している。ありがとう」

「フフッ。何ですか?いきなり。感謝しているのは私です。約束を守ってくれて、ありがとうマコト」

「フッ。そうか」

「はい。そうです」

軽く微笑み、頷く真。凛も微笑み返し頷く。


「さぁ、忙しくなりますね~、頑張らないと~」

のほほんした雰囲気に戻り、しかしどこか楽しげにテキパキと朝食の支度を再開する凛。


そんな凛を眺めつつ、お茶を飲み子供たちを待つ真だった。

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