僕は多分世界最強だけど、君には負ける。
つみら
短編
「ねぇ、アオ。」
僕は隣にいる大好きな魔法使いアオに不服そうに話しかける。
「どしたの?そんな顔して。」
僕の顔を見てふふっと笑う。
アオは中性的で背が高くてカッコいい。
「僕も身長高かったらな。」
コンプレックスなのである。勇者が165cmしかないなんて。
「俺は今のままのソラがいいよ。肩に手を回しやすいし。」
「なにそれ。」
僕が笑うとアオも笑った。
僕はソラ。この世界の勇者である。
「今日のモンスターの肉一緒に料理するぞ。」
アオが解体しながら言う。
「はーい。」
何故僕等2人旅なのかというと、僕等以外モンスターを食べないからである。
昔組んだパーティーでみんなに振る舞ったら気持ち悪がられた。そして、僕等は2人で旅をすると決めた。
「ワイバーンのもも肉どうする?唐揚げにする?」
「俺は今日は唐揚げよりステーキがいい。」
「じゃあ、下味つけとくね!」
僕等は小さな村で育った。裕福でもないし貧乏でもなかった。
勇者だと知って村から送り出されたが何をすれば良いかほんとうはよくわからない。
だから、2人で強そうなモンスターを狩っている。そうしたら魔王に近づくと思って。
正直魔王が悪いやつなのか僕には分からない。
「塩とレモンか!いいね!!」
「ありがと、あとでバジルソースかけるよ」
「絶対うまいやつ」
「食べるの楽しみだね」
魔王にあったらとりあえず話してみたい。「好きな人はいますか?」なんてかんじで。
「アオご飯炊いてて」
「了解」
僕は勇者。多分あの村の人しか気付いてない。いつか王国からなにか接触があるかも知れない。そのときは。
アオと離れないよう頑張るしかない。
この国は大きい。僕の住んでた村は辺境の地だ。
いまもよく分からない辺境の森でモンスターを食べて生活している。
正直、王都など行きたくないな。
「アオ、サラダのドレッシングさ、シーザーでいい?」
「いいよ」
アオがニコニコしている。僕もニコニコしてしまう。
今日も僕は幸せだ。
僕は多分世界最強だけど、君には負ける。 つみら @tsumira
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