一億円で猫耳少女に買(飼)われています
いかそうめん
イかれた奴らとの出会い
猫耳少女と兄の出会い
「あ、すごくいいです・・・なんだか、奥から込み上がってくるような感じ」
感覚を研ぎ澄まして、太ももに指を滑らせる。どうして女子の身体とはここまで柔らかいのだろうかと思えるほどに沈み込んでく。
「それは良かった。足、広げてもらえるか?触りにくいから」
少女は個室に用意されたソファに座って、俺に身体を預けている。俺はその足の間に身体を入れて太ももに触れていく。
スカートの中に手を入れてあるところを押す。
先ほど触ったところよりも奥にあるところ。
「んっ」
鼻から出たような声。
これが、俺の副職だ。男子高生の分際で副職って何の話だと思われるかもしれないが、これは先生さえ公認しているりっぱんあ職業として行っているものである。
もちろんやましいことではない。
俺は魔力を触ることが出来る。だからその流れをマッサージすることで円滑にするという仕事をしている。これが意外にも好評で、魔力が生徒よりも高い先生にも個人的に頼まれるようになったかと思えば他校から依頼が来るようになって今では割と名前が知られるようになってきた。
女子だけではないものの、さすがに太ももの付け根らへんが詰まっていると少し躊躇する。
少女の依頼が終わって、肩を回す。
さすがに毎日マッサージをしていると疲れるな。
特別に学校が作ってくれた空き教室を利用したマッサージ室の中を片付けていると、ノックをする音がした。
「ごめんな、今日はちょっと終わりにしようかなって思ってるんだ」
しかし、その声を聞かずに少女と青年が入ってくる。二人とも制服を着ているためうちの生徒なのだろう。
少女はフードをかぶっている。
「時間外に申し訳ないんやけど、お代は弾むからしてくれへんかな」
「別に大丈夫ですよ。この女の子ですよね」
と、ふと青年のほうを見る。
美を集結したような、彫刻を思い出す整った顔立ち。瞳が大きく鼻がすっと通っていてここまで左右対称なことはあるのだろうかと思ってしまう。身長がすらりと高く筋肉質な感じもすることから男性であることは間違いないのだが、あまりにきれいな顔をしているため女性なのか男性なのかもわかりにくくなっている。
イケメンって周りの世界まできれいに変えてしまうのだろう。バラが見える。
でもこんなきれいなやつがいたとしたら絶対に覚えるはずだし噂も流れるはずなんだが。見覚えが全くない。
「ああ、そうやで。唐突なんやけど」
そういうと、彼はアタッシュケースを取り出し机の上に置いた。
ガンッという激しい音がする。
「君のことを買いたい。一億円だす」
「え」
そういって開かれたのは、見たこともないくらいびっちりと詰め込まれた札束。他にもアタッシュケースを持ってきているようだ。
見る限り偽物ではないようだが・・・
「人身売買っていう意味やないで。この子のマッサージを専門的にしてくれるんやったらこれくらい出させてほしいって話や。これから受ける治療にもよるけどな」
と、彼は不敵に微笑んだ。
ああ、なるほど。
彼の隣にいる少女は、とんでもない魔力を持っていることは分かっていた。俺は魔力の匂いを嗅ぐことが出来るからだ。
ちなみに今鼻がひん曲がりそうだ。
ずっと黙っていた少女が、フードを外す。
するとその中から出てきたのは、ぴょこんと出てくる猫耳だった。作り物の類ではなく、ふわふわとした毛皮もまとっている猫耳。
そして、服の中にどうやってかしまわれていたしっぽも出てくる。
平均的な顔立ちではあるものの、それゆえにその猫耳の愛らしさが際立つ。
それだけなら別に珍しくはあるがただの異種であるだけ。しかし、何よりも問題なのは、猫族というのはあまりにも愛らしい種族であるために狙われ続けた過去がありそれによってある1家族を除いて全滅したといわれている種族。
そして、女性は一人だけ。
この世界中で最も強いとされている天才少女、猫かんだ。
もともと弱い種族だったというハンデがありながら生まれた膨大な魔力。氷魔法というポピュラーな魔法なもののあまりにも強大な力を持っているせいでただ小さなものを凍らせる魔法だったのが、あたり一帯を凍らせて戦闘するまでもなく勝利するという生きる伝説。
一年生だというのに彼女が一人で他校に勝利するという鮮烈なデビューを果たしてからは他校も戦いを挑む回数が激減している。まぁ俺は戦闘系でもないからこの学校に来てから戦いに参加したことはないが。
どうして、この子がこんなところまで。
「初めまして、私は猫かんと言います。身体の調子があまりにもよくなくて・・治療をしていただきたいんです」
「というわけで、君も知っているみたいやけど猫かんはこの学校の看板と言われるくらいのレベルの子や。一億円で不調が治るのであればそれ以上を出すことも惜しまん」
「え、え・・?」
「そういうことであなたを買わせてください、佐倉奏多さん」
いや、どういうことだよ。
とりあえず処置をするために少女を座らせる。
そして、手のひらを握る。
目を閉じて、感覚を研ぎ澄ます。身体の中にどのように魔力が動いているのかどうかをこれで判断することが出来るのだ。遠くにいたとしても匂いで魔力を嗅ぐことが出来るから、先ほども猫かんたちが近づいているのは分かっていた。
ああ、ここだ。
細い首に触れる。
「っ!」
いきなり急所に触れたためか、足に氷が張っていくのを感じる。
冷たいんですけど。
「どさくさに紛れて怪しい行動とったとしたら殺すからな」
そういったかと思うと、青年が首にナイフを押し付け血がしたたり落ちていくのを感じる。頷いたのにも関わらず離してくれる気配はない。
もうやだ、誰か助けてくれ!!!!!!
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