第54話 落ち着く空気

 今までの僕は、陰で可愛くイケてる女子たちとエッチなことをしつつも、学校では変わらず冴えない陰キャくんだった。


 いつも教室では隅っこの方で、モブのように息をひそめていた。


 そんな僕が今は……


「まーくん。はい、あーん♡」


「いや、ゆかりちゃん。自分で食べられるから」


「えっ、おっぱいの方が食べたいの? もう、しょうがないな~♡」


「誰もそんなこと言っていないよ!?」


「あなたは本当に乳ばかりね。いい加減、真尋も飽きているんじゃないかしら? そうでしょ、真尋? 本当は、私の美脚の方が興奮するでしょ?」


「れ、麗美ちゃん、そんなことは……」


「2人とも、ここは学校ですよ? もっと謙虚に慎ましくしたらどうですか? 真尋くんは大人しい性格なんですから、学校でもなるべく静かに過ごしたいはずです」


「和沙ちゃん……そう言いつつ、僕のアレを握っているのは、なぜ?」


「こらー! まーくんのおチ……ソーセージは、あたしのものだぁ!」


「オブラートに包んでいるようで、むしろ嫌らしいよ!?」


「ゆかり、大きいのは胸だけにしておきなさい。本当に恥ずかしい女なんだから」


「全くですよ」


「うわーん! またみんなして、あたしだけイジめる~!」


「ああ、泣かないで」


 そんな風に、騒がしいやり取りをしていたら……


「「「「「「……羨ましい」」」」」」


 クラスの男子たちが、涙目になり、歯を食いしばっていた。


「やっぱり、女って……みんな、エロいんだな」


「結局は、どんなイケメンとかマッチョとか秀才よりも……チ◯コのデカさなんだな」


「綿貫のって、どんくらいデカいんだろう……」


 このクラスはもちろん、学年、いや学園全体を見ても人気が高い3人を一人占めする形となってしまっているから。


 その内、始末されてしまうかもしれない……


 けど、この3人がそれに対して睨みを利かせてくれているから、何とか平和を保っていられるけど。




      ◇




 うぃんうぃん、と暖房が効いている。


「はぁ~、文化祭も修学旅行も終わって、つまらないな~」


「そうね、寂しいわ」


「あとは冬に突入するのみですね」


「だよね~……あっ、でもクリスマスがあるじゃん!」


「大みそかに、お正月もね」


「楽しみですねぇ」


 3人は久しぶりに、仲良さそうに会話が弾んでいる。


 そんな彼女たちの様子を、僕は黙って見守っていた。


 最初の頃は、この3人に家を溜まり場にされて、正直やっかいだったけど……


「ん? まーくん、どったの? さっきから、黙ったまま微笑んじゃって」


「ああ、ごめん……何ていうか、未だにちょっと信じられなくて」


「何がかしら?」


「いや、僕みたいな冴えない男が、こんな可愛い子たちと仲良くなって……エッチな関係になるなんて」


「真尋くんは、十分に魅力的な人ですよ」


「そうよ、真尋」


「まーくんは最強! チ◯コが!」


「あはは、結局はそこなんだ……」


「でもでも、やっぱりまーくんは優しくて良い人だからさぁ」


「可愛げがあるしね」


「一緒にいて落ち着きます」


「みんな……僕も何だかんだ、3人と一緒にいると、落ち着くよ」


「そっかぁ。まあ、あたしとしては、あまり落ち着いていられるのも、困るけど?」


「えっ?」


「やっぱり、ヤル時はやってもらわないと。ギンギンにしてね」


「まあ、何事もメリハリが大事よね」


「いっそのこと、わたしがスケジュール管理してあげましょうか? どうすれば、みんなにとってより効率的に、効果的に、エッチで気持ち良くなれるかって」


「あら、それは面白そうじゃない。私は良いけど、普段の生活からしてだらしないゆかりに、出来るかしら?」


「うるせー、できらい!」


「だから、何で江戸っ子なのよ? ハマっているの?」


「あ、江戸っ子と言えば……寿司だよね。ねえ、今からみんなで、おすし食べに行こうよ~!」


「突拍子で意味が分からないけど……でもまあ、悪くない提案ね」


「はい。江戸っ子、江戸前寿司を意識しているんでしょうけど。さすがに、回らない高級店には行きませんよね?」


「うん、回転ずし行こ♡ まーくんも、良いでしょ?」


「そうだね……じゃあ、行こうか」


「「「はーい♡」」」


 こうして、みんなで回転ずしに行くことになった。




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