第38話 新学期が始まります
色々あった夏休みも終わり、新学期が始まる。
「いやぁ~、久しぶりに我がクラスの三大美女を拝めるぜ~」
「相変わらず、可愛いよな~」
「ていうか、みんな夏休みの間、彼氏とヤリまくったのかな?」
と、男子たちはヒソヒソと話しながら、ゲスな視線を送っている。
噂の3人娘は、恐らくその囁き声が聞こえているのだろう。
意味ありげな視線を、3人とも僕に送って来たので、サッと教科書で顔を隠す。
「お~い、席に着け~」
先生がやって来て、朝のHRの時間になった。
「え~、来月に文化祭があるので、クラスの出し物を決めようか。委員は司会を頼む」
そうか、もうそんな時期か。
ちなみに、陰キャな僕は、去年の文化祭は大した役割をも与えられず、1人でひっそりと誰にも見つからない場所でうずくまっていたと思う。
家も近いし、いっそのことサボって帰れば良かったんだけど。
さすがに、それは悪いと思ってしまった。
「え~、出し物は何が良いですか?」
「はいはーい! やっぱり、我がクラスの武器を大いに活用すべきだと思いまーす!」
陽キャな男子がビシッと手を上げて言う。
「と、言うと?」
「我がクラスが誇る三大美女をアピールするには、やっぱりメイド喫茶っしょ!」
「「「「「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおぉ!」」」」」」
男子たちが結託して唸り声を響かせる。
女子たちは嫌そうな顔をしていた。
「と言われているけど、お3人はどうですか?」
実行委員の女子が尋ねると、
「ごめ~ん! あたし、彼氏が心配しちゃうから~!」
「ごめんなさい、私も彼氏が心配するから」
「申し訳ないですが、わたしも彼氏が心配するので」
そう言って、3人がまた僕に意味ありげな視線を向けて来るので、サッと隠れた。
「「「「「「ガーン!」」」」」」
希望を打ち砕かれた男子たちは、一瞬にして灰になってしまう。
「てか、今どきメイドとか、ちょっと古いでしょ」
「女を見せ物にするな~!」
「そうよ、そうよ~!」
今度は女子たちが結託して盛り上がる。
「みなさん、お静かに~!」
結局、このHR中には話がまとまらなかった。
◇
「ぷはぁ~、ジュースがおいち~!」
「ゆかり、ゲップしないでよ」
「はぁ? するかっての……げぇふ」
「この女、最低ね」
「んだよ、鬼畜女ぁ~!」
「ちょっと、お2人とも。静かにして下さい。勉強の邪魔です」
いつも通り、僕の家を溜まり場にして、3人がやいのやいのと言い合っている。
「ところでさ、みんな」
「「「えっ?」」」
「文化祭の出し物、何が良いの? というか、僕に対して気を遣い必要とかないからね?」
「じゃあ、まーくんはあたしがエロメイドになって、他の男にNTRされても良いの?」
「えっ? いや、それは嫌だけど……」
「でしょ~? 当日は他校からも人が来るしさ~。あたし、去年ナンパされたし」
「私も、モデルやってる雑誌の読者とか言う男たちがしつこくて」
「わたしも、静かに過ごしたかったのに、うんざりしてしまいました」
3人は口々に言う。
「そっか、人気者は人気者で、大変なんだね」
「まーくんは、去年はどんな風に過ごしたの?」
「えっ? いや、その……ぶ、無難に」
「へぇ~」
意外とスルーしてくれて助かった。
「でも、そうね。せっかく、みんなが盛り上がっている所、あまり水を差すのも悪いわよね」
「そうですね。来年は受験で忙しいから、思い切りハメを外せるのは、今年がラストチャンスでしょうし」
「おっ、和沙たんがハメを外すだなんて、珍しいね~。まあ、もうまーくんと散々ハメてるもんね~」
「ゆかりさん、お口にシャーペンぶち込みますよ」
「ふぁっつ!?」
「でも、やるとしたら、何が良いのかしら?」
「う~ん……どうせやるなら、儲かる商売が良いな~」
「例えば?」
「思いックソセクシーな格好して、屋台でたこ焼きを売りさばくとか」
『うっふ~ん、買って~ん♡』
「このゲスビッチが」
「どうせ、その大きな胸をアピールするつもりでしょう? これだから、ゆかりさんは」
「ねえ、何か今日あたしに対する風当たりが強くない!? うわ~ん! まーく~ん!」
ゆかりちゃんが抱き付くて来る。
「おわっ!」
案の定、その大きなマシュマロを押し付けられて、僕はドギマギしてしまう。
「あ、あまりエロいのは、良くないよ。学生のお祭りな訳だから、先生の監視もあるし」
「ちぇ~。あたしの乳でしこたま稼いで、まーくんのこと養ってあげようと思ったのに」
「文化祭でどこまで僕らの未来を賭けているの!?」
「あら、養う力なら、現状では私が1番よ。ちゃんとお仕事しているからね」
「確かに、それは認めましょう。けど、将来を見据えた時、最終的にはわたしの収入がお2人をグーンと抜きますので」
「あたしだって、風◯でもA◯でも、何でもやって稼ぎまくってやる~!」
「あの、文化祭の話は!?」
結局、今日もグダグダと溜まり場になるばかりだった。
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