第33話 『普通に』会えない

「言うんだけど、言うのも、そのなんていうの、言い方?」


「へー、めんどくさいね」


「めんどくさいんだよ」


「そんなの考えてんの、みんな」


「考えてるんじゃない?考えてる。だからその経験談みたいのが書いてある、バーって」


「しの、それ感化されるわけ?」


「ん?」


「しのはそれをちゃんと読むわけ?」


「読む」


「へー」


「読む。だってはじめてのことだからわかんない」


「へーーー」


「だってそうじゃん、今までっていうか、今までの人たちとかはさ、例えば土曜日休みだから会おうねって言ったらさ、ほぼほぼ普通に会えるわけじゃん」


「うん」


「仕事いつ休みー?いついつだよー、っていう。あれじゃん」


「まぁねぇ。なるほどねぇ」


「おにいちゃんはね特殊だからね。特殊部隊に入ってるから」


「オレおかしいからな」


「うん」


「あなたが言うようにおかしいから」


「おかしいでしょ。淋しいみたいのはないの?」


「え?」


「逆にさ、『しの、こうして』みたいのはないの?」


「こうして?」


「うん」


「『しの、こうして』かー」


「うん」


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