第2話 勉強会1
いま私はすごく緊張している。人生初の勉強会兼お泊り会。私としては高校の一番初めのテストではそれなりに点数を取って成績をとりたいところだが、今はそれどころではない。隣を歩く美少女を見ているとまた倒れそうになってくる。
そんなことを考えているうちに彼女の家に着いた。
「お邪魔します。」
「どうぞ、どうぞ。今お母さんたち出かけていていないからそんな緊張しなくてもだいじょうぶだよ。さ、さ、先私の部屋行っていて!飲み物持ってすぐ行くから」
今ものすごく聞き捨てならないことを聞いた気がする。watashi no heya itteite …
「あ、そういえば、私の部屋、階段上がってすぐ右の扉のとこだからね」
よし、あの子は少し無防備すぎる気がする。初めて家に来てもらう人にいきなりお泊りに誘うとか、自分の部屋というプライベートな空間に簡単に招き入れるは…。それだけ信用されているということかもしれないからうれしいけど、もう少し危機感を持ってほしい。今夜でも押し倒してやろうか。
よし、取り敢えず部屋へ行こう。
部屋に来た私は、部屋の隅に座った。少しあたりを見てみるときれいに整頓されて本棚の上に置かれている人形もかわいく、女の子らしい部屋だった。
「いらっしゃい!夏海!」
「今日からしばらくお願いします。」
「そんな堅苦しくなくていいのに。寝るときはこの部屋だからね」
「ひゃいっ」
そこから勉強にはすぐに取り組むことができた。最初は、蒼があまり得意ではないと言っていた数学から始めることにした。私は普段から勉強していたし単元が終わるごとにある小テストでも90点台を出すことができていたから問題なくテスト勉強を進めることができた。自慢ではないが、私は全教科問題なくできる。蒼も小テストで毎回それなりの点数を取っていた気がするから問題なく勉強が進むと思っていた。ある一つの予想外の出来事を除いては・・・
「夏海、ここどうやって解くの」
「ここは、この問題の応用だよ」
蒼に勉強を教えるのは何の問題もない。しかし、二人隣に並んで教えるなんて考えていなかった。それに蒼が近づくと、女の子らしい甘い香りが鼻腔をくすぐる。普段は外で話すくらいだったから気にしていなかったけれど、ものすごくいい香りだ。その後も私は文字通り甘い誘惑に負けないように勉強を続けていた。
ほかにも、聞きに来るときに毎回私の胸を肘で押されている気はするけど、私の胸は大きいし蒼のは・・・しょうがない。
そんな私は煩悩にまみれたまま勉強していったけれど、勉強はできているし問題はないだろう。それに危機感がなさすぎるから日曜日までには押し倒してやろうと決めた。
まだ問題はある。夜だ。普段布団を敷いて寝ているらしいからベッドはない。そういうことは、必然的に隣で寝ることになるだろう。漫画とかだと何かが起きるシチュエーションだが何も起きないことを願いたい。
そんなことの考えながら勉強していたら、もう6時になっていた。お泊り会自体初めてだし、どんな感じなのかまだ分からないけど、日曜日まで楽しもうと思う。
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