黄巾の乱

太平道の始祖

張角伝 一「太平道人」

鉅鹿きょろく郡に産まれた三兄弟がいた。

彼らは姓をちょう、名は上から順にかくほうりょうといい、三人共に県の官僚試験に合格していない秀才「不第秀才ふだいしゅうさい」であった。


この内、長男の張角はある日、薬草採りに山へと赴いたことがあった。

その日、宦官による専横のために腐敗していくこの漢王朝に悩み、木々にもたれていた時のことである。

草花のそよぎと共に老人が現れたのだった。

その老人は南華老仙なんかろうせんと名乗り、張角に太平要術たいへいようじゅつの書全三巻を授け、「自ら天の化身となり、世に苦しむ多くの民を救うのだ」と使命を託した。

そして、南華老仙は「その力を私欲のためにふるうことがあれば、必ずその身に罰が下るであろう」と残して再びの戦ぎと共に風となって姿を消した。


この日より張角は太平要術を学び、やがて風雨を自在に操る程の術を体得までになり、「太平道人たいへいどうじん」と名乗ることになる。

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