最強勇者「何って……楽しい夏休みのために、少し本気を出すだけだが?」

らと

IDとパスワードをいれてください

 ……また苗字と名前がひっくり返ってるな。

鴉上カラスガミ アイ』――修正完了。

 マイク、カメラ、問題無し。

 ステータスは接続中オンライン

 兄からのチャット爆、は……ひとまず無視スルー


 ――着信。


「さて……たまには架空ゲームの世界じゃなくて、現実リアルの世界を救うとするか――!」



📞神関 なお



「もしもし」

«愛ちゃん! 元気してた?»

「変わりなく。――おばさん、早速ですが……母のメールであらかた把握しましたが、詳細を」


«ママ、はやくかわって!»

«ゆうしゃさま・・・・・・とおはなしする!»


«はいはい……ちょっと待ってね。

 ごめんね、先に挨拶してあげてくれる?»

「はい」


«ゆうしゃさま!»

«みえてる!?»


真乃まの幹也みきや! 元気だったか?」

«げんきです!»

«もりもりです!»

「なによりだ」

«あのね! まの、こないだ6さいになったの!»

«ぼくも!»

「そうか、今月が誕生日だったな。

 おめでとう。今度・・、なにかプレゼントをあげようか」

«じゃあ……まの、ぎゅーしてほしい!»

«いいなぁ……! ぼくも――……ん? ママ、なあに?»


«く、………と……»

«うん、うん……»





「おかえり。もういいのか?」

«うん! ……あのね、ゆうしゃさま!»

«せーのっ»


««クエストのおしらせです!»»


「大体聞いてる。うちにお泊りするんだよな」

«そう!»

«あのね、ゆうしゃさまのまちでね、パパとママがね、しんかん・・・・のあつまりなの»

«でもね、じぃじも、ばぁばも……みーんなつごうわるいんだって»

「うん」

«だからね! いっぱくふつか……ゆうしゃさまのおうちに、おとまりします!»

«パパとママと、しんかんせんでいきます!»

神官しんかん新幹線しんかんせんに乗るのか」


«…………!»

«!? …………»


「――これ喋ってるか?

 おばさん? ……真乃、幹也? ミュート、いや違うな……。

 え、私なんかやっちゃいました? もしもし?」


«……んか……!»

«し………ん………!»


(見合って小さな声で喋ってるのはかろうじて見えるけど……駄目だ、聞き取れない。

 ――あ、こっち向いた。なんかキラキラした表情かおしてるな)


««すごい!»»


「私はただ、偶然見つけたダジャレを呟いただけだが……?」

«ダジャレをいうのは……»

««だれじゃーっ!»»

«ふふふ»

«ふふ……»

「えっと、ママに代わってもら」

«だめ!»«やだ!»

「……ママはさっき、私に何を伝えるよう言っていたんだ?

 例えば、なにか用意してほしいものや、決めておきたいことや――」

«すごい!»

«あてちゃった!»

«あのね、やることきめるの!»

«スケジュールです!»

「なるほど。したいことはあるか?」

«ぼく、いっしょにゲームしたい!»

«まのはね、スイカわり!»

「よし、組み込もう。

 他は――……そうだな、花火と、えーと……そうだ、夕飯はどうしよう。要望リクエストは?」

«……なんにする?»

«なんにしよう……»

「はっきりしなくて構わないぞ。

 『お魚』とか『お肉』くらいで――」


«おにく!»

«おにく……!»


««おにくがいいです!»»


「肉か……ふむ……」


«かんがえてる»

«かんがえてるね»

「…………」

«メールかな?»

«カシャカシャしてるね»


「……よし。

 夕飯以外もだ――二人とも、当日は楽しみにしてるといい」

«なになに?»

«なんだろうね?»


「何って……楽しい夏休みのために、少し本気を出すだけだが?」

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