ビターラブ

ラフター1号

ビターラブ

誰だってほろ苦い思いをしたことは、ひとつやふたつあるだろう。

おれなんか片手で収まりきらない。

ほろ苦大名と言ってもいいくらいさ。

具体的には、女の子の消しゴムを拾ってあげたとき、「ありがとう」

と言われ、

「どういたしまして」

と返さずに、

「ドゥーイタシマスゥィーテッ!」

と返したことかな。

女の子は消しゴムの恩も忘れて、そのエキセントリックな体験を流布して回ったよ。

え、それはただお前がエキセントリックなだけじゃないかって?ほろ苦い体験とは違う?

……じゃあこういうのはどうだい。

女の子と付き合ってた時のことだ。

彼女は高校生なのにブラックコーヒーが好きだった。

おれは歯を磨かない主義でね、そのままデートに行ったんだよ。

おれはその日は納豆を食べた。

彼女のコーヒーを間違えて飲んじゃってね、隠したが納豆のにおいでバレた。

予想外だったよ、コーヒー豆も納豆も豆なのにね。

それで別れた。残念だったけど、仕方のないことだった。

ほろ苦いどころか相当苦かったけどね。

え、最低?歯を磨かない主義が?デート前に納豆を食べることが?コーヒーを間違えて飲んだことを隠したことが?ただのダジャレが?

まあ、いいさ。

君のほろ苦い体験はなんだい?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ビターラブ ラフター1号 @laughter1

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ