恋人達の結末

郷新平

第1話嘘

高校に入って、一月が経ち部活動も決まり、ある程度、仲良く話す友人も決まったころ


飲食店で二人で仲良く話す、マスクをした男二人の姿があった。普段だったら、この日は部活動に参加しているはずの時間だけど、テスト期間中ということで部活は中止になっていた。




「なあ、朱里、可愛いだろ?」




そう言って、高校に入学してから初めてできた小泉陽太の彼女でカップルが成立してから3週間たった彼女の高瀬朱里を見せてくる。友達の彼女の自慢を聞いていた綾瀬浩介は喜ばしく思うと同時に、半ば羨ましいと思いながら話を聞いていた。




浩介は高校入学の前に彼女は居たがある事情で付き合えなくなってしまった。




陽太とは高校に入ってから席が浩介と前と後ろの関係で入部する部活動も同じだということで


友達付き合いが始まった。




惚気話が一通り、済んだところで朱里が来た。




「お待たせ~」




浩介はは陽太を見て、小突くと陽太はニヤリと笑って朱里を見る。


朱里と陽太の出会いは同じ委員会になり、浩介が二人を見て、気が合いそうだから付き合ってみたら


と言い、陽太が告白したのが始まりだった。




「全然、待ってないよ」


「本当に」


「こいつから惚気話を聞かされて、大変だった」




朱里、はにかむ




「何か、買ってくるね」


「おう」




軽い化粧をした朱里はとても魅力的に見え、浩介はそんな陽太に軽い嫉妬心を覚えながら、朱里の後ろ姿を見た。浩介の様子に気づいた陽太




「お前、朱里に惚れたんじゃねえ?」


「そんなことはねえよ」


「本当か?」


「本当だよ」


「朱里はやらねえぞ」




ハハッと苦笑いする浩介だが心の中では




(朱里綺麗だよな、、、、)




そんなことを考えつつ、二人の惚気に巻き込まれるのは避けたいと思い、いつ頃退散しようか考えていた際、食事を乗せたトレーを持った朱里が来た。




陽太の隣に座った朱里、二人は携帯を見せ合いっこをしている。


その内に陽太がボディタッチをし、照れる朱里。




そろそろ退席しようと思っていると、陽太が気が付いて




「何だよー」




それを合図に帰宅しようと思い、




「そろそ」




浩介が言いかけた時、




「そういえば、浩介は彼女作らねえの?」




急な質問に戸惑う浩介。




そんな浩介の様子を朱里はフフッと笑い




「浩介、彼女居てもおかしくないのにね」




苦笑いをする浩介




「そうかな」




その様子を見ていた陽太は笑いながら




「おいおい、俺がいる前で浮気か?」


「まさか、お前には敵わないよ」




その一言に気をよくした陽太




「そうだろう」




変な雰囲気になりかけた気がした浩介は一刻も早く、立ち去ろうと席をたった。




「悪い、そろそろ帰るわ」




完全に悪酔いしている陽太




「そんなことじゃ、彼女はできないぞ」




その事に何故か、カチンときた浩介は少し困らせてやろうと悪戯を思いついた。




「お前は朱里ちゃんを選んでよかったな」




何のことだかさっぱりというように首をかしげる陽太。


朱里は浩介の顔を興味深げに見ている。




「陽太が私を選んでよかったってどういう事?」




笑いながら、陽太を見る浩介。マスクをしてない顔を見られたら、とても意地の悪い顔をしているだろう。そして、何か企んでいることも分かっただろう




「陽太は隣りのクラスで吹奏楽部に所属してる冴戸さんに告白するか、迷ってたんだぞ」




戸惑う陽太




「はっ?何言ってるんだよ、ふざけるな!!」




佐伯さんは浩介が陽太を懲らしめる計画を立てたため、咄嗟に口から出た名前。


浩介は陽太を懲らしめるため、嘘をついた。




真意を確かめるため、浩介を見る朱里


ニヤリと笑う、浩介




浩介の思惑に気づいた朱里はニヤッと笑った。




「えー、陽太は私しか見えてなかったんじゃないの?」


「当たり前だろ」


「信じられないなぁ」


「おい、浩介どういうつもりだよ」


「浩介は帰ろうとしてるのよ。」




朱里、ウインクをする。




「仲良くな」




フフッと笑って帰る浩介。




(あの調子なら大丈夫だろう。寧ろ、喧嘩した後は仲良くなるんじゃないか)




そんなことを考えながら、浩介は店を出た。




浩介を見送る店員




「ご利用ありがとうございました」




寝る前に不安になった陽太は朱里にVineで連絡を入れた。




「どうだった?」


「あの後、少しからかったら、止めたよ」


「そうか」


「陽太は相当、怒ってたよ」


「やりすぎたかな?」


「今日の陽太は調子に乗りすぎてたもん」


「今度、何か奢ってやろう」


「私が吹奏楽部だったから分かったんだけど」


「吹奏楽部でいい子を紹介してよ」


「悔しかったら冴戸さんと付き合っちゃえ」


「考えとく」


「絶対、付き合わないパターンだ笑」


「誰か紹介して」


「考えとく」


「絶対、紹介しないパターンだ泣」


「冴戸さんね」


「冴戸さんがどうかした?」


「何で冴戸さんなの?」


「何でだろう」


「えー適当に言ったの?」


「そういうこと」


「そろそろ寝るね」


「おやすみなさい」




浩介は一言




「サエ、、、」




その直ぐに浩介の意識は暗闇に沈んだ


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