奈落の落とし穴

バブみ道日丿宮組

お題:可愛い奈落 制限時間:15分

奈落の落とし穴

「うわ……」

 外に出ると、大地は穴でいっぱいだった。

 道という道に穴が空いており、その中から叫び声が聞こえる。人という人……というより、車も走ってない。異様な光景だった。

「……」

 穴の一つを覗いてみれば、3~5人ほどの人間が入ってた。

 深さは人間4人分ぐらいで直進してる。井戸みたいなものだ。そのため、登ってでてこれない。

 助けてくれ、ここから出してくれ。

 様々な声が私に向けられた。

「だから、なに」

 私は穴の上から、近くに落ちてたタイヤを投げ捨てる。

 悲鳴があがった。

 私のことを助けてくれなかったのに、自分は助けてくれだなんて……虫が良すぎる。

 だから、助けない。助けてもいいことなんてきっとない。

 ガソリンでも入れて、燃やせればもっといいのにな。

「……あは」

 気持ちが良かった。誰も地上にいない。私だけの世界がここにあった。

「……うん」

 あの夢は夢じゃなかったんだ。


 ーー願い事をひとつだけ叶えてあげる。


 夢の中で天使みたいな容姿だったものが問いかけてきた。

 私は世界中の人が奈落の落とし穴に落ちてしまえばいいと願った。

 その結果がこれだった。

「……そうだ」

 いじめっ子たちはどうなっただろうか。

 この時間でなら、あの空き地でたむろってるに違いない。

 たどり着くと、大きな穴が空いてた。

 それはクレーターとも思えるもので、なぜかうさぎのように○に2つ耳がある。

「おい、てめぇ。助けやがれ」

 穴を覗けば、いじめっ子たちが案の定入ってた。

「……いい気味」

「あん? てめぇなに舐め腐ってやがる。はやくしろ! 殺されたいのか! あぁん」

 穴の奥で騒ぐいじめっ子は可愛かった。

 出るに出られず、困ってるのが可愛かった。

 それから、私は毎日いじめっ子に餌を上げることにした。

 もちろん、ただの餌じゃない。

 下剤を入れたものや、接着剤を入れたもの。

 様々に加工したものを入れて、観察した。

 彼女たちは、苦痛の声を漏らしながらも、私からの施しを受け続けた。

 それが5日続くと私は飽きた。

 臭いし、近寄りたくなかった。

 だから、それ以上はなにもしなかった。

「……ふふん」

 彼女たちがそれからどうなったかはわからない。

 

 だって私は穴にセメントを入れて、穴を塞ぐ作業に忙しんだもの。

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奈落の落とし穴 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

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