キンギョウリウリ

語部せんと

第1話

「あそこにあるのが今日の荷物です。」

この店の店長である私は目の前にいる運び屋の男性である零次さんと今日の分の宅配物の確認をする。

零次さんが宅配料金を提示してきた。

「この数で5万ですか。今日はいつもより安いですね。」

営業スマイルを作り少しめの圧を含んだ声で疑問を口にする。

いつもは今日の値段の0.五倍くらいの値段がする。まぁ、安いことには変わりはない。

「分かりました。お金を出すのでちょっと待ってください。」

ポッケの中から財布を取り出して提示された額を取り出して渡す。

零次さんは笑顔作り領収書を渡してくる。

今日の商談が終わった私達は雑談を始めた。

「ゆめちゃん、こないだ遊郭街のあたりでお偉いさんが幼女に蹴っ飛ばされるって言う事件があったけど何か知ってるかな。」

いいえ、何も知りませんよと目の笑っていない満面の笑みを見せてあげる。

「本気に?犯人の顔は分かってないけど、ゆめちゃんみたいに小柄で12歳ぐらいの女の子らしいよ。ここまで言っても知らないなんてことはないよね。」

零次さんは犯人が私みたいに言ってくる。

「知りませんよ。それに零次さん、遊郭街だとそんなもん日常茶飯事ですよ。」

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