第2話 そのドラゴンは規格外

「何っていわれても、モンスターをテイムして、冒険に出かけるだけだけど?」


 リュンは、不機嫌そうに言う。


「まてまて、そのモンスターは、どのようなモンスターか知っているのか? 確かにテイムしているようだが、そいつは規格外なモンスターだ! お前を裏切るかも知れないぞ!」


 ジャロンは、リュンが乗っている巨大な3つ首の龍に構え、彼が契約している赤い炎を吐く大蛇の中でさらに巨大な【フレア・ジャイアント・アナコンダ】を召喚する。


 他の2人の賢者も、30代後半くらいの女性賢者、【ウィカ】は、さまざまな属性の力を牙に纏う獅子のさらに凶暴かつ強力な【エレメントファング・イビル・ライオン】を、若くして賢者になった現在20代半ばの男性【ファル】は、角から雷を放ち、さらに纏う事で稲妻のような速さで移動できるユニコーンのさらに特殊個体【ライトニング・エンペラー・ユニコーン】を召喚する。


「わしたちも、テイマーの賢者になる為に、規格外のモンスターをこのようにテイムしているが、ちゃんと絆を結んでいる。だが、リュンが契約したそのドラゴンは、わしらのモンスターとは次元が違う! お前は騙されとるに違いない!!」


 ジャロン達三賢者は、一斉に攻撃を開始する。


 しかし、賢者達の規格外かつ、さらに育成をする事で、力を極めた筈の3体のモンスターの攻撃は、アッシュの尾で防がれる。


「リュン、どうする? 奴らのモンスターは、なかなかの強さだ。我も楽に勝てはしない」


「それじゃ────」


「強力な規格外モンスターをさらにあたし達が、より強く育てたモンスターよ! 簡単には倒させないわ!」


「俺っちは、賢者だぜ! いくら世界最恐と言われる災禍龍でも、倒せるかもしれねぇぜ!」


 ウィカとファルは、アジダカーハに言い放す。


「待ってみんな! 彼はもう悪いドラゴンじゃないんだ!」


 リュンは、4人に向かって大声を出す。


「じゃがな、リュンよ。そのドラゴンが過去に起こした事を考えて、そんな事はにわかには信じられん! 人との関係を避けてきたお主が、そこまで言っているのだから、信用したい気持ちはある。じゃが、私達はこの黒いドラゴンを世に放つ訳にはいかないのじゃ!」


 村長は、彼に申し訳なさそうにする。


「そうですか……じゃあ……」


 リュンは、アッシュの背を手で2回叩く。


 アッシュは、3つの口から、紫色の炎を凄い威力で地面に吐いた。


 3人のモンスターは、吹き飛ばされ、炎と土煙で4人の視界を遮る。


 賢者の3人は、千里眼を使うが、紫色の炎に篭った、呪いの魔法が遮り、うまく見えない。


 そして、邪悪な雰囲気の炎が消えると、リュンとアジダカーハの姿は無かった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る