第54話
「報告は以上になります」
「ふぅん…それで全部か」
「はい。安藤省吾と接触した時に得た情報は、今ので全部になります」
「なるほどねぇ…」
「何か…?」
「いや、別に。報告ありがとう。もう下がっていいぞ」
「はい。ありがとうございます」
バタン。
「ふーん…安藤省吾は、実力のない探索者であり、我がクランには相応しくない、か…うーん、部下を疑うわけじゃないが、なぁんか引っかかるんだよなぁ…」
「火のないところに煙は立たぬっていうし、そんな実力のない奴が、ここまで噂になったりするのかね…?」
「だいたい、実力がないってどうやって判断したんだ?俺は必要なら襲いかかってでも、本来の実力を引き出せって命令したはずなんだが…後藤のやつ、安藤省吾と戦わなかったのか?」
「なぁんか、今日の後藤はおかしかったな。所々記憶に空白があるような喋り方だったし…誰かに何かを言わされているような感じもした…」
「まさか安藤省吾の何かしらの能力で、記憶を改竄されたとか…?」
「まさかな。安藤省吾の能力は炎を操るものと聞いている。もし記憶操作の能力があるんだったら、安藤省吾はダブルということになる」
「…うーん。だがこの件をこのままかたづけてしまうのもなぁ…」
「よし、決めた。一度俺が直接接触してみよう。そして安藤省吾の実力を見極める。その方が早いな」
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