第15話


玉っちがアホすぎて、さっきまでの自分がなんだか滑稽に思えてきた。



いっぱい笑ったからかもしれない。



次の恋、そうだ、こんな玉っちみたいなアホな子がいいのかも。



「じゃ、追加でナゲット2個買ってあげるからぁ」



自分でもアホなことを言っていると自覚して、玉っちもケラケラ笑った。



「シェイク、ストロベリーね」


「よーし、お子ちゃま! イケメンのおにーさんがなんでも奢っちゃるぞー」


「イケメン、イケメン?」


「2回言うな! いいじゃんかよー。俺だって初めてのイケメン扱い受けたいじゃんかよー」



私はまた笑う。



玉っちと合流して並んで歩きながら、お腹が痛くて深呼吸した。



「わかった。じゃ、今から玉っちはイケメンね」


「目ぇ!」



私をバッグで軽く殴って玉っちがわざとらしく頬を膨らませた。



「目を開けろ! 細めたつもりだろうけどほぼ閉じてるぞ。くっそー! 悔しいけど笑える。おまえっていいやつだよ」


「玉っちも足は長いもんね。座高低いし、そこは誰よりも自慢してもいいよ」


「もっと、もっとちょうだいよ。俺のこと褒めちぎっちゃっていいから」


「……もうないよ、玉っち」



わはは、と2人で笑って元気に帰った。



マックには寄ったけど、2人でシェイクを買って持ち帰っただけ。



私はちょっと元気を取り戻して、それで昨日の寝不足もあって、その日はぐっすり眠った。




なんの夢も見なかった。






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