閑話 2人の友
「う…」
「まぁまぁ、元気出して」
世理達が2人で話をしている中、キャンプファイヤーの元で流星と環は地面に座り込み話をしていた。
こうなった経緯。それは学校からトボトボと歩いてきた流星を見た環が、流星がフラれたと察した為であった。
「流石に2回も振られたら悲し過ぎるだろ…!!」
「うーん。まぁ、キッパリ諦められて良いんじゃない?」
流星は顔を顰めながら悲しげに肩を落とし、それに環は呆れながらも励ましに肩を叩いた。
「キッパリって…まぁ、そうだけどさぁ」
流星は手に持っているオレンジジュースを呷り、何度目になるか分からない大きなため息を吐く。
「……これまでこんなに凹む事無かったのに……」
ボソッと。
それこそ隣に居る環にも聞こえない様な声量で流星は呟く。
流星にとって、これは初めての恋だった。
イケメンである彼は、幾人もの女の子に言い寄られ付き合ったが、これが初めての恋なんだと理解したのは最近だった。
「ん? 今何か言った?」
「……いーや別に。ただ、神原さんが俺の運命の相手じゃなかったって事なのかなって思ってただけ」
そう少しふざけた感じで答えると、今度は聞こえたのか環が唸りながら答える。
「うーん。私、恋愛ってよく分からないんだけどさぁ…」
「ん? お、おう」
「そんなに運命の相手じゃないといけないの?」
環の恋愛が分からない発言に少し驚いた流星だったが、その次の言葉に完全に動きを止めた。
「私だったら運命の人じゃなくても良いと思うけど……というかどうしたの?」
「………いや、運命の人って普通女の子が会いたいとか思ったりするもんじゃないの?」
流星からしたら、少しふざけたつもりで言った言葉。それをまさか、こんな返し方をされるとは思いもしていなかった。
環は一層眉間に皺を寄せ、指で目頭を抑えながら言った。
「葵とはあまり恋愛の話とかそんなにしないから普通ってのが分からないけど……運命の相手って、喧嘩もしないで、一生苦労もせずに過ごせる相手っていう認識で良い?」
「あぁ」
「んー…私だったらだけどさ……喧嘩して、相手の嫌な事を知っても一緒にいて、苦労を共に出来る人がいい、かな?」
流星の言う運命の人とは、全く無縁の人生を送ってきた環。喧嘩もしない、ただただ仲良しの関係でならどれだけ楽だろうか。どれだけその人を考えてないで居られるだろうか。
運命の人。
それは安直に、好きになった人。相性が良い人でまとめられる事が多い。
改め、その言葉を深く考えて出した環の意見に流星の心は大きく揺るがされた。
「相手の嫌な所を知って尚一緒に居て、苦労を共に…」
「その方がお互い…なんか良くない?」
先程とは打って変わって、環の左眉は吊り上げられ何処か得意気だ。それに流星も少し鼻で笑った。
「確かに。そうかもしれないな」
「でしょ? だからそうクヨクヨしないで次の恋見つけなよ! 君ならアイドルとでも運命の人になれそうだ!!」
「はは、頑張るよ」
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