モノクロの世界

@8738bi

友人

水中に屈折する光のように

角度の違う

「分かる」を胸に

君の話を、聴いている


君の声はいつの日も

新緑の5月、爽やかな風

出会った季節は関係なく

話す内容も関係なく


好きなことを話す、悩みを話す

振れ幅はメトロノーム

閾値は越えず、心地よい


角度が変わるその光

示す君は、ひとつの指針

突きつめ、どん詰まりの僕の

肩を叩いて違う話をする

呆気とられ、うなずく僕

気づけば、幹線道に導かれ

去っていく君の優しさ


冷たい季節が好きだと

いきいきする、君

低血圧にやられ眉間によるシワ

不機嫌を隠さないその姿

つくづく「らしいな」と独りごこちる


どこへ向かうのか分からない会話

流れる沈黙が愛おしく

このまま続けばいいと

ふいに思う


歳月は過ぎ、離れてく

だけど君の声は変わらず5月

セーラー服に着せられて

思い浮かぶは、

レンガの学び舎


眩しい日差しにクラクラし

いのちの力強さに萎縮。

そんなに頑張らんでも…と苦笑い


等身大の君を表現する

僕にはできないその姿

憧れと尊敬と

友人であることに、ちょっとした優越

気づけば人生の半分を

ともに過ごしてきた時間

見てきた景色も違うのに

どこか懐かしいところがある


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