なれていない

なれていない

僕はなれていない


二人で帰った時に寄った公園で言われた一言に


僕はなれていない


教室に入ってきた君にたった四文字が言えない自分の弱さに


僕はなれていない


僕には見えやしない花を君が見つめて、僕のほうなんか見向きもしてくれないことに


僕はなれていない


BOBBI BROWNと書かれた袋を片手に持ちながら帰る雪降る日に


僕はなれていない


どこを探しても君を見つけることができないある春の日に


僕はなれていない


いきなり君から電話がかかってきたある夏の日に


僕はなれていない


君が作った朝ごはんの匂いで起きる秋の日に


僕はまだなれていない


ベットに横たわる君のか細い手に


君はなれただろうか誰かの灯台に


やっぱり僕はなれていない





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なれていない @CITRON0724

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