第2話たとえヒロインになれなくても
「顔、隠すなよ」
角谷は強引に美羽の顔を自分の方へ向ける
急に彼氏に振られ泣きはらした顔を見られるのが怖くなる
「私を見ないで…」
美羽は俯く
角谷は強く抱きしめ、
美羽のおでこにキスをする
顔がびっくりして赤くなる
でも逃げようとしない美羽の態度に角谷は少しだけ顔が綻ぶ
「もう少しこのまま…居ていいか?」
角谷は再び強く抱きしめる
たとえ好きだった彼のヒロインになれなくても
急に救いの手を差し伸べた白馬の王子様には驚きを隠せないが、抱きしめられているのに
どこか懐かしくて違和感のない愛情を感じていた
繋いでいた彼への絆も
私が手離さなければ
自分の心からも飛び立つことができない
どうにもならない想いを
角谷は守るように美羽の側に寄り添っていた
+ + + + + + + + + + + + + + + + + +
「突然だけど|ఠεఠ)…萌は、角谷くんのこと詳しい?」
美羽は友人の萌に困ったような照れているような複雑な表情をする
幼馴染の一色萌といつもの屋上の隅でお昼を取っていた
「角谷が!好きなのぉ?まじぃ?そんなことないよね???」
美羽が男と別れたのを喜んでいた矢先に
急に萌が泣きそうな顔になる
「角谷ってさぁ、、あの色男ねぇ。表面上はああだけど、、胡散臭い感満載すぎ」
無垢れ面で萌えは答える
「彼は彼なりに理由があると思いますよ、僕が萌を想う熱い心と共通する何かを感じます、彼の周りには常に女子生徒が多いのは確かですが…」
萌の彼氏の桐生院も(半ば無理矢理)横から口を挟む
桐生院は萌は美羽が好きすぎてあまり相手にされてない二番手風のポチ的な存在
静かにしていればかなりの美少年でどこぞの御曹司らしいが、萌のことになるとかなり取り乱す残念な男性(ポチ男)
「角谷はめっちゃ頭は良いけど…女に関しては全く良い噂は流れてはこないよね、とっかえひっかえ的なヤツとしか耳にしてないし( ˘•ω•˘ )」
萌はぶつぶつ呟き体制に切り替わる
「なんか俺のこと色々勝手に着色されているけど、、もう少し説明してくれるかい、、一色さん」
萌たちの後ろから角谷が現れる
彼の姿を見て
萌と桐生院の背筋がシャキーンとなった
「(音もなくここまで来るとは…まさか忍びの者では?!)
ここここここれはこれは…角谷様、こんな辺境の地までお疲れ様ですぅ…じゃあ、美羽!!あとはよろしこーぉ」
突然の訪問者に萌は驚きを隠せず謎の言い訳をする
萌は桐生院の耳を引っ張り二人でとその場から逃げるように立ち去る
急に萌が居なくなって角谷と二人きり
「あ、、
(萌逃げるの早っ( ¯ ¨̯ ¯̥̥ ))」
美羽は昨日の角谷におでこにキスされたことを思い出し少し顔を赤らめる
「まだ週末の返事ないから、探した」
角谷は話しながらも微かに呼吸が乱れていた
うっすら角谷の顔に汗がにじみ出る
美羽は聞きたいことが山のようにあったが、昨日の出来事が恥ずかしくてうまく言葉にまとめることができない
「美羽の同意なしで申し訳ないが、もうすでに映画のチケット買ってあるんだ、一緒に行きたい」
美羽の手の中にチケットを捩じり込ませる
「週末美羽の家まで迎えに行く、いいな?!」
角谷は笑みを浮かべ美羽の頬に手を添える
「…うん(強引ね)⁄(⁄ ⁄•⁄ω⁄•⁄ ⁄)⁄」
ますます美羽の顔が赤くなっていたが、ゆっくり首を縦に振る
強引なのにどこか許してしまう彼の眼差しに何か揺れてしまう想いを感じた
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