84話 ふとした悩み

  


 いつも通り輝夜おねーちゃんと起床し朝支度をしていつものように何ごともなく生活をおくる

 最近は「この紋所が目に入らぬか!」という台詞を同じタイミングで言うのにはまっている。3回目あたりで輝夜おねーちゃんも「この紋所が目にはいらぬか!」と言うようになってきた。

 今日の視聴もおわり読書に移るだいたい一日に3冊程度で済ませている、というのも上限を設けていないとそれ以上読んでしまうので3冊と決めているのだ。

 今から読む本は「魔女裁判の秘密」だ。この本はアメリカの魔女裁判に関する歴史書で史実8割考察2割といったところだな。

 まぁ本の内容は置いておいて私は考えなければならない事があるのだ

 それは、視聴者との絡み方についてである。

 他のメンバーは視聴者と仲よさげに配信をしている。

 しかし私はどうだろうか。リスナーと仲良くやれているだろうか?一線を引いていないだろうか?

 輝夜おねーちゃんの配信ではリスナーが輝夜おねーちゃんに軽く接しているように感じる関係性は「友達」であろう。

 アリスとリデルの配信ではリスナーが時に「保護者」のような立ち位置に立ったり時に「友達」のようになっている。

 他の配信者もなんだかんだフランクな環境下を作っていると私は結論づけた。

 では私がリスナーと仲良くなる方法はなんだろうか。

 このままでは今読んでいる本のように私が干されてしまうのではないだろうか

 人間は異物を拒む、知らない物を拒んでいる。私自身が元魔法使いであり現魔術師だこれはリスナーにとって異端であるのではないだろうか?

 しかし今私が「実は魔術師ではないんだ」なんて嘘をついて信じる者がいるだろうか。配信中に天空城を作り上げたこの私が嘘だと言って信じる者がいるはずがないだろう

 そして嘘だと信じさせた場合そのとき私はどのような立場で配信者となるのだろうか肩書きは「インチキ魔術師」になるのだろうか?

 私としてはどちらでも良いのだ、だがしかし。他のメンバーが私が見せた魔術を語っているらしい。つまりは他のメンバーが誹謗されるとなることもあるわけだ。

 以前までの私ならこのようなこと迷いもしなかっただろう。人を思う気持ちがこの考えを生んだのだとおもう。


 これが道徳心か。


 それでは先ほどの本題である「私はどうやってリスナーと仲良くなれば良いのだろうか?」に対する答えを求めていこう。

 なにかソロ企画でも作るとかか?それともリスナーでも使える魔術を教えてみるか多分最低でも1年はかかると思うが。

 なにかいい案はないかな?

 私の頁をめくる音が途絶えてしまったに気が付いたのであろう輝夜おねーちゃんが話しかけてくる


「なんじゃ?悩みごとでもあるんかぇ?」


「少しな。」


「我で良ければ相談に乗るぞぉ」


「ん、ありがとう。なら1つ、私はどうすればリスナーと仲良くなれると思う?」


 輝夜おねーちゃんは目をパチパチとさせる

 

「なんじゃお主リスナーとの関わり方で迷っておったのか。ういやつよのぉ」


「なにか案はないか?」


「配信していくうちに自然と仲良くなれる故そう気にせんでもええと思うがのぉ。個人差はあるから気長に待つのが良い」


「そんなものなのか」


「あぁそんなものじゃ」


「そんなものなのかぁ」


 本を閉じてカタッターを開く


 彼岸零@境界所属 @rei-higann これからもたくさん配信するから応援よろしく


 これは私がリスナーに対して真剣に向き合うという意思表示だだからこそ長くは書かないのだ。


 せっかくだしなにか企画でも作るか。


・・・・・・・・・


彼岸零「そのうち仲良くなれるのかぁ」


輝夜「そうじゃ」


彼岸零「そうなのかぁ」


輝夜「そうじゃ」


 

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