60話 一方その頃

  


 


 朝起きると枕元には立方体の紙包みがいくつか置かれていた

 私はそれに触れること無く更衣を済ませる

 更衣を済ませると物音で起きたのであろうか紅鬼が起き上がる


「あれぇ。おはよぉ(コクッコクッ)」


「まだ5時だもう少し眠っているといい」


「……うん、そーする」


 いつもの緊張した声では無く間延びした声で終始会話をした

 いつもならこの時間帯に夜空(輝夜)も起きるのだがいっこうに起きる気配がしない

 夜空の方に近寄ってみると途中足を掴まれてしまう


「……むー。むーzzz」


 ねぼけたネムだ

 両腕で私の右足をがっしりと掴んでいる


「零、眠るの……眠ないとはなさないの」


 これは起きているな。

 他の皆より先に寝ていた私とネムは早起きしてしまったらしい


・・・・・・・・・


 前日深夜


 零とネムが隣の部屋でおこなっている配信をみながら寝落ちしていた

 それを見た音坂と紅鬼が布団に2人を移動させる 

 紅鬼の枝のようとまではいかないものの細い腕に零が収まり軽々と持ちあげられる

 音坂もスライムのようにとろけて取りこぼしてしまいそうなネムを抱えて布団まで移動させる

 2人を運び終わると音坂が小さな声で話しかける


「紅鬼君は以外にも力があるんだね」


 意外そうな目を向けそういう

 紅鬼は頬を少しかいて答える


「う、うん。昔から力仕事は得意ばっかしてたから……」


「ふむ、なるほど力仕事をしてきたからこそ運び方が安定していたのかな?」


 音坂が言うように紅鬼の運び方は安定していた

 零をなるべく自身の胸に寄せて抱えていた


「そ、そんなに安定してたかな?村のおじーさんが倒れたとき病院まで抱えて走ったんだけどそのときに学んだんだ」


 昔を懐かしむように顔を斜め上を向け思い出の海に潜る


「抱えて、走ったのか……すごいな。ははは」


 から笑いをする音坂であった



 ・


 ・


 ・


「ところで音坂さんは零ちゃんのコトどう思ってるです?」


 温かいお茶を前にゆったりと談笑をくりひろげる

 話題が急展開して零の話になった


「私かい?そうだねぇ『優しい子』だと思うよ」


「その理由はなにかあるです?」


 アカネが聞くとすぐに返答が帰ってくる


「バス内で零君がくれたお花あるだろう?あれに込められた魔術?に詠唱を聞いてもしかしたら私の心情を察して詠唱にわかりやすい言葉を使ってくれたんじゃ無いかなって……」


「心情です?」


「実は私は密かに恋心を育てているんだよ、その恋はきっと実らないそう思ってきた。だがあの詠唱を聞いたときなんだか行動に移さなきゃって思えたんだ。だから明日行動に移そうと思う」


「やっとか……ふぅ」


 紅鬼が話をきいて口にこぼす


「え!まさか気づかれていたのかい!?」


「……逆に気が付かない方がすごいんです」


「なん、だと。」


 orzの体勢になった音坂はどことなく自身がなくなっている


「だませていると思っていたのだが………」


「紅鬼の言うとおりあれで隠せていると思っていたのです?」


 すこし顔が縦に動く


 どうやらだませているとおもっていたらしい 



・・・・・・・・・


 今日も眠いよ


 最近寒いね、みんな暖かくして寝るんだよ!


 おやすみ!

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