3配信 出会い

  


 初配信を終えることができた。マネージャーと先輩と話をしていくうちに配信者とはなにかを私なりに考え出した。それが正しいのかどうかは分からないし先輩に聞いても


「私も未だに分かっていないんですよね。結果としてリスナーさんに喜んで貰えるモノであるなら私はそれでいいのかなって思ってたりもします」


 先輩はそう言って話を続けた


「まずは零さんが楽しめることを見つけるのが先決なんじゃないですかね?零さんが嬉しそうだったらきっとリスナーさんも嬉しく思ってくれると思いますよ」


 優しげな表情で私に笑いかけてくれた


「……先輩は、どんなことでうれしくなりますか?」


「そうですねどんなことで嬉しく思えるか、ですか。そうですね…零さんにアリスって呼んで貰えたら嬉しいですね」


 指先を口元であわせて頬を染めて“鏡乃アリス”先輩は言ってくる。それで嬉しくなれるのか


「それで嬉しくなれるモノなのか?」


「はい!」


 “鏡乃アリス”の目線が私を捕らえる、けして私を逃すことはない眼力だ。これは言えと言うことだろうか


「アリス」


「は、はい!」


 元気いっぱいに返事をする、とはこのことを言うのだろうな。 

 モジモジと上目遣いで話しかけてくる


「零さん、お願いがあります!」


 目をギュッと閉じてお願いがあるという。この前マネージャーに借りた漫画本にこんな展開があったな、たしか恋愛漫画だったかな。そこで


「わ、私と――――――同期コラボしてください!」


 だったかな。いやあの漫画本では告白というのをしていたな。


「あ、その。コラボが解禁したらの話なので急ではないのですが……その、零さんの初子ラボのお相手をさせていただけないかな~と」


 どうやらお誘いのようだった、初配信すらまだだというのに。


「かまわないよ、マネージャーに話を通しておこうか」


 私と“アリス”はマネージャーが同じなのでコラボの件も話が簡単に進むだろう。


「しかし、あって数時間しかたっていないのにいささか考えがはやすぎるのではないかな?」


 私の疑問に「ふふふ」と笑いながら“アリス”が答える


「出会い方がカッコ良くてコラボしてみたいと思ったんです」


 たしか、事務所近くの歩道で見つかっていたのだったかな―――――私は0期生としてデビューすることになり今日はその先輩と顔合わせに事務所に行くことになっている。

 

 事務所の近くの部屋を借りているのですぐに事務所に着くだろうと考えていたら前方で声を荒げる人の声が聞こえた


「近づくんじゃねぇ!こいつの命がどうなってもいいのか!ああん!」


 聞き取れたのはそのくらいだ。

 助けた人類がこんなのも含まれているのだと思うと気分が落ちるな

 声の主を確認するとひげ面の不衛生な男だった、手にはナイフを持っている

 不衛生な男の腕には少女が1人、近くには倒れている男が1人血が流れているな


「これ以上近づいて見ろ、こいつもそいつ見てぇになるぞ!」


 不衛生な男がナイフを少女の首にあてる


 はぁ、なんで人類は不出来なのだろうか


 私は人と人とを縫うように近づく


「な、なんだぁ!こいつの身代わりにでもなりてぇのかああん!」


 不衛生な男が私の方を見てそう言い出す、腕に抱えた少女が力が入らず体重を全てその腕にかけてるのがみてとれる


 私は口も開くことなく近づく


 不衛生な男が私の方に腕を伸ばす、少女がその場に崩れる目線はこちらを向いている


 私はその腕の下に潜り首をわしづかみ不衛生な男の足をはらいわしづかんだ首を地面に強くたたきつける


「ぐはっ!」


 そのまま仰向けの不衛生な男の顎を蹴る


 不衛生な男は力なく気絶した


「お嬢さん、大丈夫かな?」


 先ほどまで不衛生な男の腕にいた少女に手を差し出す

 ついでに血を流して倒れている男に回復魔術をかけておく。


「あ、ありがとうございます」


 少女は私の手に掴まって立ち上がる、すこしよろめいている


「気分がすぐれなければ歩行のお手伝いをしよう」


「い、いえ。そんな、大丈夫です。ありがとうございました!」


 少女は走り去ってしまった


 そのあと事務所で会うとは思いもしなかったな


・・・・・・・・・


 ゆっくりのんびり変えていくよ

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