第50話 そして手を組む①
「神をしばき倒す?」
「ええ、俺は元々神という存在が気にくわない。特に
「ほう、そこまでか。それに今この世界と言ったが、君達はこの世界の者じゃない。異世界からの救世主というわけか」
キラトの言葉に苦々しさが含まれる。シルヴィスはその苦々しさが自分に向けられているものではないことは察していたために特段不快になるものではない。
「異世界から召喚されたということはエルガルド帝国はまた戦争を仕掛けてくるわけか」
「遠からず
「君だけでなく、他にもいるわけか……何人だ?」
「俺以外に三人、十六~七の男と女、二十前後の男だ。若い方の男は素人だが、女ともう一人の男は素人じゃないな。それなりの腕前でしたね」
「そこに
「ああ、そういえば素人が七色の
「素人が……あの性悪女がやりそうなことだな。素人を強者にして魔王討伐させましたというわけか。あいつ根っこから腐ってるよな」
キラトの口調に嫌悪感が含まれたものになる。
「それで君はどんな
「俺は
「は?」
「
シルヴィスの返答に漣は眼を丸くした。シルヴィスの言葉が衝撃的すぎたのだ。
「……本当だ。この人には
ジュリナの右目に小さな魔法陣が展開され、シルヴィスを見ながら言う。ジュリナの言葉を聞いた漣のメンバーの困惑した様子は、シルヴィスのやった行動がいかに異常かを裏付けるものだ。
「くくく、ははははははは、はぁっはははははっははは!!」
そこにキラトが突然笑い出した。続いて漣のメンバーも笑い出した。
「いやいや、あんたすごいな。そこまでディアンリアを虚仮にしてくれたんだ」
「そうね。あの性悪女、いい気味だわ」
「いやはや、異世界の者はユーモアが効いとるものじゃな」
「性悪女のくやしがる顔、見たかったわ」
「すごいですよ。そこまであの性悪女を虚仮に出来るなんて」
漣の反応にシルヴィス達の雰囲気も自然と和む。
「ああ、ついでに言えば
「
キラトの不思議そうな声と表情にシルヴィスも黒い笑顔を浮かべて言い放った。その様子は本当に楽しそうだ。
「ディアンリア
「おいおい、それって逆にディアンリアの評価が下がるんじゃないか?」
「普通に考えればね。先に授けられたら手が出せないって逆に言えば、ディアンリアの力は魔王に及ばないと告白したに等しいのだが、エルガルド帝国にしてみればそこは重要じゃないんだろうな。あいつらは神の奴隷だから、神が白と言えば黒も白になる。しかも疑いを持たない。限りなく哀れな生き物だよ」
「言うねぇ」
「これでも穏当に言ってますよ」
「お前さん、穏当の定義を自分を基準に考えない方がいいぞ」
「あの……」
シルヴィスとキラトの会話にジュリナが申し訳なさそうに声をかけてきた。
「どうした?」
「あのキラト様……この人達も
ジュリナの視線の先にいたのはもちろんヴェルティア達だ。
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