バカと変態はかみひとえっ!!
俺氏の友氏は蘇我氏のたかしのお菓子好き
第1話 これが本当の真剣勝負…?
『最終種目、紅組対白組の真剣勝負です。』
その声がスピーカーから響いた瞬間に、学校内を歓喜の声が満たした。
『紅白の代表者はグラウンドの中央まで起こしください。』
ウォォオオと人々は叫びながら、グラウンドへと目をやる。
『なお、本種目は多少の危険を伴う可能性が高いため、代表者以外は生徒、保護者関わらずグラウンドに書かれた二重円の内側には決して入らないで下さい。』
先生に保護者たちも生徒たちと同じようにグラウンドを凝視して、今か今かと選手の登場を待ちわびていた。
「両者!!!迎えっ!!…………白組は!!?」
審判である教師がグラウンドの中央で、やってきた一人の紅組代表を見て叫ぶ。
紅白どちらにも代表がいるはずなのに、今グラウンド上にいるのは一人だけだ。
…………教師の男も入れれば勿論二人だが。
『グラウンド上で代表者達が準備を行う間に、種目紹介を致します。』
『この「真剣勝負」は、その名の通り「真剣」を用いて行う勝負です。』
『試合は一度のみで、制限時間は10分です。勝敗は片方が降参、また試合続行が不可能になるほどの重症を負ったことでのみつきます。』
『時間内に両者とも降参せず、致命的な傷が生まれなかった場合は引き分けとなります。』
教師の男が紅組の代表者に日光を浴びて光り輝く真剣…………正真正銘の日本刀を渡す。
「準備体操!!はじめっ!!!……至急白組の代表者は出てきなさい!!」
そして白組代表に渡そうとするが、未だにグラウンドには一人だけ。
仕方なく彼は呼び出しの声を上げながらもその鋭利な日本刀を地面に突き刺した。
…………こころなしか日本刀が泣いているような気がしてくる。
『グラウンド上では真剣の素振りによる準備体操が開始致しました。』
ここまで元気に解説してきた女子生徒がそこで言葉に詰まる。
『……皆様お気づきかと思いますが、白組の代表選手が未だに姿を表しません。』
少しの沈黙の後、解説者は後ろから教師に渡された紙を読み上げた。
このオオトリの種目の二人だけの選手の片方がいないというのは、大問題だ。
『試合開始の50分までに来なければ、紅組の不戦勝となりますので、代表者は至急グラウンドまでお越し下さい。』
キーンとマイクのハウリング音が響く。
「……………。」
紅組代表は黙って素振りをする。
「………………。」
審判の教師は空を見てあぁ鳥飛んでんなぁと思う。
「…………………。」
紅白の応援団長はお互いの顔を見合って、どうすればいいのかと黙る。
「……………。」
山田くんのお母さんは今晩のおかずを考える。
「……………………。」
白組の田中くんは早く帰りてぇなと思う。
『「「「…………………。」」」』
さっきまでの大地を揺らすような歓声は今や全く聞こえず、皆この異常な空気に戸惑っていた。
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