恋色刹那

くうき

恋色刹那

ある朝の世界は何処か寂れていて

廃れていった僕たちは何を思うんだろう

理想ばっかり語って現実から目を背けて

枯れてしまった植物に水をそっと捧げてさ

大事そうに抱えた夢が

こぼれ落ちていく瞬間を

静かに見守ることしかできないことに

悲観して

泣いて

走って

誰もいない場所で恋なんか語って

一瞬の時間を溶かした

痛みすら感じなかった

でも寿命は減っていた

この両手にもらった

愛の数は

知らず知らずに増えていって

同じように減り始めていった。


ボロボロになったこの姿で

幸福を祈って

感情論に流されて

明日の空に天仰いだ

春になって

夏になって

秋になって

冬になった

時間が経つたびに世界は少しずつ変わり始めた

物語の命が宿り

恋の囁きが産声を挙げた

大人になっていく

そんな時間が

愛おしくてたまらなくて

あの頃に出会ったすべての日常が

少しだけ

欲しくなったりして

誰もが必要としていた時間は

気づけば消えていた


夢を話して

未来を語って

誰もが望んだ幸せを

偽善のように掴んでさ

欲しかった狂おしい愛を

何処に捨てちゃったのかな

あの朝に写った

君の姿は

綺麗だった。

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恋色刹那 くうき @koooodai

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