第2話
●高校2年5月
昼休みを告げるチャイムが鳴った。
クラスメイト達がまるでテトリスのブロックのように机を寄せあい、機械的に群れを形成させていく。そこに一体どれほどの友情があると言うのだろう。
自分の身を守り、ただ居場所を求めるだけの浅薄で憐れな者達。そんな友情に一体どれほどの価値があるのだろう。僕には理解できない。そんなことを思い、見慣れたその光景を背に校内の売店へと向かう。誰かと会話することもなく。
売店でいつものように適当にパンを買うと、その足で中庭に向かった。
中庭に繋がる校舎間の渡り廊下に差し掛かった時のことだった。
「おーい」
突然、なんの前触れもなく校舎間に誰かを呼ぶ女子の声が響いた。
なんだろう…
と思うも取り立てて気にすることもなく、校舎間の中庭に足を踏み入れる。
「おーい。君だよ、君」
再度、誰もいない中庭に声が響く。
もしかして僕…?
なわけないよな…
そう疑問に思いながらも辺りをキョロキョロと見回す。
すると、校舎の2階の窓から上半身を乗り出す一人の女子が僕に向かって手を振っていたのだ。
っえ。。。。何…
思わずたじろいでしまう。
僕は顎下に指を当て軽く頭を下げた。
僕に言ってるの?
そんな意味を含ませて。
目を凝らすとその女子は笑って頷いている。
「そうそう君だよ君」
まじか…嫌な予感しかしない…
おどおどする僕に間髪いれず。。「ちょっと待っててね」。。と高らかに言って駆けるように窓から姿を消した。
どうやらこちらに向かっているようだった。
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