第11話 獣人のリユウ
[こころはインキュバシタンボルグの転生に成功した。
そこで大柄の男、フォードと出会いレアリナ城への道を聞き出した。
その後こころはレアリナ城に向かう道中で、勢いよく走ってきた獣人とぶつかってしまう。]
あ、あああ、え、、とごめんなさい!殺さないでください!なんでもしますから!命、命だけは助けてください……」
「いやいや殺さないよ!安心しろ!怒ってもないからさ!」
その要素は人間の7才位の身長120cmくらいで、人の姿に犬の尻尾と耳を付けた女の子だ。
「こ、ろさないですか?」
とても不安ながらこころを見つめて言う。
「大丈夫だよ。それよりそんな身体汚して、怪我もしてるじゃないか!悪い子でも無さそうだしなにか訳ありそうだしなぁ……。よし僕がきれいにしてやる!」
「そんなこと出来るんですか?」
「まっかせなさい!」
こころはそう言うとその子を連れて歩き出した。
「取り敢えず部屋に行こう!」
「あ、あの……」
こころは鼻歌歌いながら宿を探す。
「すみません。このへんに泊まれる場所とからないですか?」
「泊まれる場所……ホテルならこの道を真っ直ぐに行った右側にあるわよ。大きくサニターホテルと看板が出ているからそこが泊まれる場所よ。」
「わかった!ありがとう!」
獣人の女の子は小さく頭だけを下げた。
「ニタサー、タサニー、タニサー、、、サ、タ、ニーホーテール……あったー!ここだ!」
こころはホテルに入りロビーを抜けて勝手に奥へと歩いて行こうとした。
「あのーお客様?ご予約は……?」
フロントの女性が声をかける。
「予約?客???……」
「あの、、、予約をされていないのでしたら会いている部屋をご案内いたしますので、こちらにサインをお願いします」
「サイン……?」
こころは下界で暮らしている時は部屋を借りると言う概念はなく、行くところ行く所タダで上がり込んでいた生活をしていた為、意味がわかっていない。
それに天界での授業も友達のシェルダーの様に真面目に受けてきた事もなかった為、自分の名前さえまともに書けないのだ。
こころは魔法のバッグに施された下界で共に過ごしてきたサキが書いたこころの似顔絵を書いた。
「あのー、お客様、その絵ではちょっと……」
「字じゃないとダメなんか?」
「まぁ、はい……」
「リユウかける……」
「お前書けるのか!」
「うん……。パパとママいっぱい教えてくれたから」
「おー!助かった!頼むぞ!」
リユウは身長が低い為、こころが抱き抱えて書かせた。
リユウは小さな声で読み上げながら自分の名前をゆっくりと書いた。
「それでは何泊のご宿泊予定でいられますか?」
「取り敢えず未定だから三日でいい!また延長するかもだけどな!」
「わかりました。三泊の宿泊代は先払いになりますので、1アルコウベルカになります」
「なんだ!?」
《ベルガ》日本で言う(円)
鋁貨=メユ:50ベルカ
鉄貨=シン:100ベルカ
銅貨=アイ:1000ベルカ
青銅=コウ:5000ベルカ
銀貨=アル:10000ベルカ
金貨=オウ:100000ベルカ
「泊まるのにはお金がいる。持ってる……」
リユウが言う。
「あ、あの……この国むずかしい……。じゃ、取り敢えず頼んでいい?」
「うん、いいよ」
またまたリユウに頼ることになってしまった。
「ありがとう……」
「それでは鍵になります。ごゆっくり」
やっと部屋にたどり着りついた。
「あー部屋を借りるのにこんなに疲れるなんてー」
こころはベッドに仰向けで倒れ込む。
リユウは扉前からこころの前まで歩いてきた。
こころは起き上がりベッドに座り、リユウと目を合わす。
「そいやリユウって言ったっけ?」
「あ、はい。リユウ・ウェアル、、、です……」
《リユウ・ウェアル》
種族:獣人族(犬)
特徴:両眼に赤い瞳を持つ
能力 結界とリユウ特有の魔法
「僕はココロ!よろしく!リユウ!っあ!そうだ!怪我治してやる!あと服もな!」
こころは左目を使い怪我を治すヒール魔法でリユウの身体全体に光を当てる。
みるみる内に汚れと怪我は消えていき、跳ね上がっていた髪も整っていく。
服も元々着ていたのを要素は残しつつリメイクしとても可愛らしいものへと変わった。
「す、すごい!リユウにこんな素敵なものを、、、」
「似たようなこと言っていたやつがいたような、、、。ルナシエだ!この子もなにか深いわけがありそうな……」
「あ、あのココロさん」
「さんてやめてくれよ!ココロでいいよ!それに敬語もなしだ!」
「じゃ、じゃぁ、ココ姉って呼びたい……」
「うん!そうしよう!」
「……ココ姉、ありがとう!」
リユウはニッコリした顔で頬を赤くし、尻尾を大きくブンブン揺らしながら言った。
こころは溺愛したように惚れ惚れしていた。
下界では誰かを可愛がると言う経験はしたことがなかった為、初めて芽生えた気持ちだった。
そして、こころはリユウについて聞き出す。
「なぁリユウ」
「なぁにぃ?」
「リユウはなんでこのインキュバでボロボロな状態でいたんだ?」
リユウは素直に過去から今に至っての事を語り出した。
「リユウは獣人族の娘。もともとこの地の外れに獣人族の村があって、そこで平和に暮らしてた……。獣人族は人々と共にお互い助け合って生活をしていたの。でも今から約2ヶ月まえ、魔王軍がやって来て村を焼かれ、リユウ以外の獣人村の住人は囚われてしまった。リユウはパパとママと森の奥へ逃げ込んで、囚われるのは時間の問題だとパパはリユウにそう言ってある程度のお金を渡してくれたの。インキュバシタンボルグの中心部にあるレアリナ城に向かいなさいと言って、道を教えてもらいリユウの身を隠させたの。で、魔物やオオカミに追いかけられたり、変な人たちに囚われそうにもなったけど、雨の中もなんとか凌ぎながら街にたどり着いたの。それにずっと何も食べていなくて、外で食べ物が並んでいたのが見えたから、買うつもりで見ていたのに見た目がボロボロだったせいで泥棒扱いされちゃって、店の人が追いかけて来たから逃げた。そしたらココ姉にぶつかった。それがここに来るまでの出来事……」
「な、なんてかわいそうに!」
こころは鼻水とヨダレを垂らしながら大泣きしていた。
「ぐぅぅぅー、、、」
リユウのお腹がなる。
「あー!ちょっと待って!」
こころは魔法のバッグからベーコンが巻かれた芋のオヤツとフォードにもらった水の石を出してリユウに渡した。
「これ僕の大好物!美味しいよ!」
「食べていいの……?」
「どれだけでも!」
すると涙しながらリユウは座り込んで芋のオヤツを指で一つもちパクっと手のひらごと入れた。
「いくらお腹すいてても手までいくか?」
「おいしいー!」
「だろ!?それずっと食べ続けられるくらい美味しいんだ!」
リユウは次々と口の中に放り込んでいき、口をもぐもぐさせた後水をごくごく飲んだ。
そしてこころが語りだす。
「リユウ!僕が絶対にパパとママや他に囚われた人達をなんとかするよ!それにレアリナは何をしていたんだ!助けられるだけの力あるはずだろう!ん?そいやリユウのパパ、レアリナ城て言ったのか?」
「うん、言った……」
口をもぐもぐさせながら軽い上目遣いでリユウは答える。
「リユウのパパとレアリナにも関係がありそうだ!よし!早速レアリナ城に向かうぞ!ちょうど僕もレアリナに渡さなきゃいけない物があるんだ!」
「ココ姉も?ココ姉はレアリナ城に行ったことあるの?」
「ないよ!僕は転生者だ!動物天界メティスの元で生まれ、地球と言うそれは美しい星の下界で育ち、556年死に生まれを繰り返し、新たに今日この地に転生してきたんだ!」
「死なない命……」
「その事をしっているのか!?」
「うん、インキュバシタンボルグ歴史の書をよくママが読み聞かせしてくれた……」
「なるほどな!」
「転生者は死なない。この地で転生者と心を通わせ無の信頼関係が生まれた時、その相手側も永遠の命を授かるって」
こころはその言葉を聞き試しにリユウのオデコに自分のオデコを当てた。
「うぃ……」
リユウは照れ臭そうな反応をした。
テレパシーでこころはリユウに問い始める。
「リユウ、僕の声が聞こえるか?……」
「ここ姉の声聴こえる」
「よし!……アニマメアシェア 」
こころは呪文を唱えリユウへ想いを向けた。
するとリユウの輪郭に光のエネルギーが囲む。
「ココ姉、これは?」
リユウが喋る。
「魂の共有を試してる」
「魂の共有……?」
「そうだ!リユウ感じるか?僕の魂を」
「感じる。とても暖かい……」
すると二人を光が囲んだ。
光の空間の中で正面を向きあうこころとリユウ。
こころはリユウの心臓に手を入れた。
リユウの胸元から光が放つ。
光の空間内はエコーがかったような薄っすらと響くように聴こえる。
「ここ姉、これって……」
「そうだ!リユウは死なない!後、大人なる年齢になれば要素は今のままから大人のリユウにもなれるから安心しろ!」
そう言うと、リユウは安心するように目を閉じた。
光の空間から部屋の景色に戻る。
「今日からリユウは僕の妹だ!」
「うん!ココ姉!」
こころとリユウはホテルを出てレアリナ城へ向かう。
「ちなみにお金って、どう作ればいいんだ?」
「リユウ、レア6枚にオウ30枚持ってるから大丈夫お金持ちだったから!」
「なら魔法のバッグに預かっておくよ!重いだろ?」
「うん!お願いココ姉!」
「しかしこの国よくわからん……」
大金貨=レア:1000000レア
日本で言う100万円
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