転校生の少年・逢坂右近が、新しく過ごすことになるクラスの一番後ろの席、一本の桜の木と出会うところから始まる物語。
ちょっと特別な秘密を抱えた少年と少女の、ボーイミーツガールな日常もの現代ファンタジーです。
もうとにかく導入部のインパクトがすごい。教室に桜の木という絵面のパワー! 一瞬で話に釣り込まれました。初手で「どういうこと?!」と驚かせてくれる作品は、もうそれだけで半分勝ったようなものなのでずるいです。
特筆すべきは内容の徹底ぶり、思春期男子の夢と欲望をそのまま形にしたかのような展開の数々です。
ヒロインを苦しみから救い出す流れであったり、また厨二心全開の主人公の無双ぶりであったり。とにかく気持ちよくなれる妄想の楽しみが盛りだくさん!
娯楽作品としての狙いどころの明確さというか、読み手の需要に忠実な姿勢がとても好きなお話でした。