俺は学校では誰も信用しない・・・そんな俺にとって大切なのは・・・

黄色いキツネ

第1話 学校での俺のスタイル




「おはよ~!」


「あははっ!それ、まじウケるね~」


「そういえば、昨日のTV見たか?」


 学校に着くと互いに挨拶する声や楽しそうに笑う声、雑談などの声が周りで飛び交っている。


 そんな彼らを横目に、誰にも声をかけられることもなく、俺はただただ自分の教室へと向かって歩いていく。

 途中、クラスメイトともすれ違うが、特に声をかけられることはない。


 別に苛められているとかそういうわけではない。

 これが俺や彼らにとっての日常であり、もっと言えば俺は彼らにとって居ないのとそれほど変わりないだけである。


 だからといって、俺は別に仲睦まじい彼らに対し羨ましいとは思った事はない。

 これが俺のスタンスであり、俺自身が望んだ結果なのだから・・・



 俺は風見星・高校2年生。

 下の名前である星の読みは、ホシでもセイでもない。


 風見星カザミキラと読む。

 いわゆる、キラキラネームと言うやつだ。


 俺はこの名前は、意外と気に入っている。

 変わっているというほど変な名前ではないし、何よりも覚えやすいという特徴がある。


 まあ覚えやすいとは言ったけど、俺は学校には友人が殆どいないため意味はないけど。

 とはいえ、それが寂しいと感じた事は特に無い。


 別に友人が少なくとも、俺が心を許した人だけがキラと呼んでくれればそれでいい。

 逆に親しくもない人から呼ばれても、ただただ嫌悪感しかない。


 ・・・

 なぜ俺がこんな風になってしまったのか。

 それには理由があるのだが・・・


 細かい理由は置いといて、俺は中学時代に色々とあった為にあまり他人を信用していない。

 まあ他人というよりは、主に学校で関わる人達に関してだけど。


 なんにせよ、彼らには必要以上に近づく事をやめた。

 それは肉体的な意味ではなく、精神的・心の距離の意味合いとして。


 そのため、中学時代に心を閉ざしてからは、必要最低限の事を話しかけてくる者はいても、俺と仲良くなろうと近づいてくる者はほとんどいなかった。


 高校は同じ中学の人がほとんどいない学校を選んだ。

 だからといって、心機一転するつもりなどはさらさら無く、誰かと積極的に関わるつもりなどはなかった。

 その方が気は楽だったから。


 じゃあ、高校に通う必要はないのではないかとは思うものの、色々と考えた末に高校くらいは通うべきだろうという結論に至り、とりあえずという感じである。



 俺は自分の教室に来るまでの間、そして教室に入ってから誰からも声をかけられる事はない。


 俺自身も誰かに目を向ける事も声をかける事もなく、自分の教室に入り席に座るとすぐに小説を取り出して目を落とす。


 こうしていれば俺に声をかけてくる者はほぼいないし、俺自身も他の事に気を取られなくて済む。


 そんな事を考えていると・・・


「おっす、キラ!」


 と、俺の肩にポンと手を置きながら声をかけてくる者がいた。


 その相手は、なぜだか知らないが俺に唯一気軽に話しかけてくるクラスメイトの坂上亮太だった。


 彼はサッカー部のエースで人当たりが良い上、さらにはイケメンときたもんだから校内では人気者の地位に付けている。


 いわゆるカースト上位というやつだな。


 そんな彼が、なぜか俺にも構ってくる事が多い。

 まあ人気者であるが故に、誰とでも親しく出来るアピールをしているのかもしれないけど。


 そんな事を思いつつも、俺は普通に挨拶を返す。


「ああ、おはよう」


 俺は別に自分から声をかける事がないというだけで、話しかけられればそれ相応に受け答えはする。


 まあ、必要以上に近づくつもりはないけど。


 そんな思いを知ってか知らずか、俺が返事をした事で坂上はニコニコとしている。


 俺が挨拶を返す事で、坂上が笑顔を見せる意味がわからない。


 そうは思いつつも、その後も坂上は俺に話しかけてくるので、とりあえずいつも通り受け答えだけは普通に返していく。


 そんな中・・・


「おはよう!」

「みんな、おは~!」


 と、教室に入って来た2人の女子生徒がクラスメイト達に挨拶をしていた。


 2人が入って来るや否や、特に男子が色めき出す。


 というのも、その内の1人が学校内でもかなり可愛いと噂されている杉並美鈴すぎなみみれいであり、かなり整った綺麗な顔立ちと綺麗な長い髪、人を惹き付けるような笑顔が魅力的らしい。


 もう1人は、彼女と仲の良い結城亜沙実ゆうきあさみである。

 彼女も可愛くて社交的なため人気はある。

 ただ、結城の場合はどちらかというとギャルっぽい感じは否めない。


 そんな2人が入って来たのだから、男子達がそわそわするのも仕方がないのだろう。


 とはいえ、俺にとっては全く興味ない。

 はっきり言って、どうでもいい。


 だから一切見向きもする事はない。


 そんな俺を見た坂上は、ため息を漏らしながら・・・


キラは相変わらずだな」


 と、言ってくる。


「はっ?何がだよ」

「いや、もう少し色々と興味を持ってもいいんじゃないかなってな・・・」


 全く・・・

 大きなお世話だっての。


 俺が何に興味を持つかなんて、俺が決める事だ。

 坂上に決められる事ではない。


 もっと言えば、俺は坂上にすら大して興味を持っていないのだから。


 そんな事を考えながらも・・・


「はあ、そうかよ・・・」


 とだけ、答えておいた。




 ――――――――――――――――



 お読みいただきありがとうございます。


 他の作品を手掛けている中で、思うところがあってこの作品を投稿しました。

 昔書いて眠っていた作品に手を加え、続きを書いたものです。


 当作者の今までの作品としては全く違い、コメディ要素がほぼないザ・小説という感じの作品です。

 どちらかと言うと、恋愛よりもヒューマンドラマっぽいかもしれません。


 完全な自己満作品なので受け入れられるかどうかはわかりませんが、ある程度書き上げてあるのでストックが無くなるまでは毎日投稿いたします。


 よろしくお願いいたします

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