多年草
庭先に植えられた百合は、昨年よりもその株数を増やし
親株を囲むように顔を出した赤子たちが
少しでも多くの祝福を受けようと両手を大きく開いてみせている
早く百合の咲く季節になればいい
今までの恩返しとばかりに、その身に似合わぬ大輪を空に向ける姿が待ち遠しい
当たり前にわいてきたそんな思いの裏側に
希死念慮の足跡を見て、僕は青ざめる
六年前に植えた桔梗には限界が近づいてきていた。
昨年とれた朝顔の種は、おととしのものよりも一回り小さかった。
ザクロの木は、今年もうんともすんとも言わない
六年前の僕はどうだっただろう
去年の僕はどうだったろう
昨日の僕と今日の僕は、どちらの方が僕らしい僕なのだろう
いずれにせよ理想からは程遠いが
僕が時間と共に成長していけるようなデキの良い株でないことは確かだ
もらったものに釣り合うほどのお返しなど、できっこない
それでも、うなだれそうになる生活に、稚拙な筆さばきで色を添えることが
なにかを残すためのやむなき抵抗だった
僕らの限界は近づいてきている
あと何度咲けるのか、最後に花芽を付けたのはいつだったか
生と死を細やかに繰り返す彼らと僕ら
どちらが長生きなのか
それすら、もうよくわからない
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