ラフスケッチ

烏瓜一

17:10

喧騒行きのバスはがらんどう

相席したのは幽霊ばかりで

生身の僕は気まずさに息をのむ

駅前のバス停で運転手たちが交わすたわいのない会話にも

輪郭のない疎外感を覚え

いよいよ居場所の亡くなった僕は

窓の外

曇り空で彩度の落ちたロータリーばかり気にして

窓側の席でよかった

そんな思いを反芻する


いっそ見知らぬ地まで連れて行ってくれないか

不安と希望を含んだいびつな感情を持て余して

手元のペットボトルを弄び始めた頃

そ知らぬふりでバスが出る


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