ビル群

世界の終焉のにおい

濁った池に映るビルの明かり

紅色落ち葉の朽ちてく音


暗闇に浮かんでるのはきみ

白肌のきみ

その頬にそっと唇寄せて

緩んだまぶたに触れて

あらゆる音に耳すませて

じっと

カーテンに透ける月光は希望

こちらを見つめる闇夜の切なさに

目を閉じてしまう

さよならと


我慢の果ての快楽に

油断しているその隙に

きみが入ってこないように

わたしがわたしのままで死ねるように

夜明けの口づけ気付かぬように


濡れた石畳の凹凸

身体につきまとう小蠅の透明な羽

あれはきっと音

きみにだけ聞こえない音

どうか安らかに

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る