水底

ぼくは聞いた


水が

目に鼻に耳に

眼窩を肺を心臓を

いっきに呑み込む

意外ときれいな音だ


酒の匂いももう気にならない

水に溶けたか泡になったか


ボートの底って初めて見たな

黒い水だって透明で

水面をぼんやり透かす月明り

あんなに光っていたっけな


あいつらはどこだろう

遠く浮かぶオールを追ったか

湖畔にたどり着いたのか


ああ深いな深い


あとどれほどだろう

水底に手が届くまで

横たえる場所を探してしまおうか


でも明後日は小テスト

まいったな

あの先生怖いんだよな


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