16
「火事だ!」
「ギルドの爺さんは?!」
「中にいるんじゃ…!」
今の時刻は深夜三時。ちなみに日本だと夜の12時だという。
「ようやく気づいたか。」
____________________
まぁ真夜中やしな。
あの殺人鬼はなんでコイツと相打ちになってくれなかったんだ…
しゃあない
今起きた
最近配信ずっとつけっぱなしやわ
見てて飽きん
テレビ局も頑張らへんとな
____________________
僕はまるで何が起こっているのか知らないように下の受付に降りる。
「何があったんですか!」
「火事だ!中に爺さんがいるかもしれねぇ」
村の人々はバケツに水を入れたりと色々頑張っている。
「女子供は避難しろ!男は消火に当たれ!」
「「「応!!!」」」
やはり村という閉鎖空間での生活のせいかとても気合いが入っている。
ここで何もしないと言うのも流石に悪い。
だが、燃え尽きてもらわないと死体を焼き尽くせない。
「しゃーない。バケツ以外の所で頑張るか。錬成!」
他の住宅に火が移らないように壁を作る。何人か驚いたようにこちらを見るがすぐに消火活動に戻る。
「土魔法か!やるじゃないか!」
いや、違うから訂正しとこう。
「錬金魔法です!」
「は?」
「何言ってんだ?あいつ」
一人のリーダー格の男が声を荒げる。
「口動かす前に手動かせ!」
「「へい!」」
(なんていうか…親方と子分みたいに見える…)
いや、実際そうなのだろう。
まぁ、ここでバケツによる消火はやらない。流石に自分から火を付けといて清々しく消火作業をして感謝されるほどの人間はできてないのだ、僕は。
だから、自然に火が消えたようにしよう。いや、不自然に。
「第一工房より
工房から干渉し、核に刻んだ練成陣でここら一体の環境を錬成で操る。
普段自分がやっている練成の規模をもっと大きく広げたと考えてくれたらいい。
だが、もしここでいつもと違う事を挙げるとすればそれは火を消して爺さんの遺体を一気に燃やし尽くす、つまり空間、空気への干渉である。
(今だったらできるかもしれない…!)
新しい領域へ。
自分の知らない高みへと。
「地脈から霊脈への置換干渉。」
地脈とは大地の毛細血管みたいなもの。
霊脈とは地より上に流れるもの。
二つは時として入り混じり、そして別れる。
ならば地脈から霊脈への変換も可能のはずだ…魔導書からの自己解釈だけど。
「
一瞬にして建物の火が消え、建物内の爺さんの遺体に熱が収縮する。だが、火は出さない。徹底的に灰にする。
「な、なんだ?!」
「火がいきなり消えたぞ!」
「おい、何がどうなって…」
ふう、もうそろそろいいか。爺さんの遺体はもう遺骨すら残っていない。
「第一工房からの干渉を正常に。結界解除。」
____________________
『なんかこういう詠唱ってかっこよくない?』
お前の行動がそもそもマッチポンプでかっこよくない
まぁわかる
わざわざ声に出すことによって術式の精度を上げたのか…
配信見てると大体俺らもそういった事分かってくるよな。
____________________
配信見ているだけで理解できるとかやっぱり日本人って変態なんだなって再認識した。
「もう眠たいし、寝るね?おやすみ。」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます