13

話は変わるが、僕が錬金術を使っている時の感覚を言葉に表すなら、自分という物を広げていると言える様な感覚だ。その時感じ取れる魔力の『線のような川』は恐らく日本でいう所の地脈や龍脈と言える物なのだろう。

そう、つまりここで言えるのはただ一つ。僕の錬金魔法はとても工房作りに向いているということだ。



「洞窟の空調の整備、灯りの確保、その他諸々色々やらないとなぁ。」

どう考えたって村の滞在期間じゃできない。そもそも知識が足りない。

ところで覚えているだろうか?創造のスキルの概要について。


「スキルっていうのはさ、声に出して発動すると魔力消費量が減ったり、発動速度が上がったりするんだ。だから、今から長いけど声に出すね。」

____________________

おお。

へぇそうなんや。

微々たるもんじゃねえの?

『案外それがバカにならないよ。』

____________________


この世界はどうやら言葉が力になりやすい世界らしい。

「僕のスキル、創造は自分が知っていて、自分が触ったことがあって自分が見たことがある物質なら作り出せることができる。中身の構造や性質を知っているとさらに魔力消費量は少なくなる。そして僕が今から作り出す物は先程ギルドで触った本の一つ、魔術の初歩という本です。今からそれを作り出すのですが、生成速度は通常通りで魔力消費が少なくします。そして、もし僕の体内魔力で足りなかった場合この愚者の石を使います。」

____________________

なげぇ

なげぇよ

少しは短くしようぜ。

マジで中身見てなくて出来たのならチートだぞ?

____________________

手のひらに魔力を集める。

想像はできないが創造はできる。

紙らしきものが少しずつ出来てくる。

… ふむ、体内の魔力のみで出来た。

「それじゃあ読んでいくことにしよう。」

洞窟の外に出て木陰で読むことにした。


それから一時間。


知識欲を満たしたことで不安を少しながら取り除く事ができた。

初級と言いながら結構いろんな事が書いてあったりしたからだ。

「これなら作れるな。」

魔力も全快した。いける。

「錬成」

まずはここの心臓と言える物を作らないといけない。

ゴブリンリーダーの身体を弄り地脈に接続できる様にし、ここの核とする。

「錬金、付与」

魔導書によると、個人が持つ魔法は一つらしく、そしてそれは焼き文字として付与術で刻めるという。

ちなみに言うと、才能関係なしに取得できる魔導スキルは付与術、刻印術、結界術、通信術、呪術、変換術の6つだという。ちなみに変換術があるとか戦闘に使えないからといった理由で錬金魔法は欠陥魔法と認識されているらしい。


いや、思っきし戦闘で使えるんですけど。


そんなことは置いといて色々と作っていく。

ゴブリンリーダーの魂を使い切った時のためにゴブリン達の魂を魔石に封印して核となったゴブリンリーダーに接続していく。

遠隔地にいてもここの魔力が使える様に魔石を創って…それでああしてこうして、よし出来た!


「と、いうわけで出来た。」

____________________

趣味悪すぎない?

部屋の真ん中見てごらんよ

ゴブリン達の遺品もしっかり活用してて草

コイツが日本から消えてくれたことに心から感謝するよ。

____________________

「感謝するんだったら次号の〇〇先生の小説を読ませてくれるとありがたいんだけど…まぁそれは置いといて!さて、出来ました!」


灯りの代わりに魔石を薄く張り巡らすことによって地脈と反応した際に光るようにしたのだ。

空調は普通に洞窟とは別口の穴を作って空気を確保。

そして、ここには森の中。つまり地下水が通っているのだ。

創造でフィルターとホースを作り出し、設置し、これが出来た。

「ようやく、風呂に入ることができる!」

宿にはなかった。

あるかどうか聞いたら貴族の家にしかないんだとか。

「あ、というわけで今から風呂入るからまた20分後な。」

そう言って配信を消し、湯気が出ている風呂の前に行く。

いざ、尋常に!

感想を言うなれば、感無量だった。






  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る