12

____________________

『冒険者ギルドに入ると、そこには受付美女が居なかった…。』

Oh…

最低

いないんかい

ニホンノブンカ!サギダネ!

____________________

ちょっとがっかりしながら受付に椅子で座っていた爺さんに声をかける。

「身分証を作りに来ました。」

「…?」

寝てたのかな?


「身分証を!作りにきた!」

「ん?あいわかった。」

腰をゆっくりと動かしながら作業を始める爺さん。後で村娘達でストレス発散しよう。


「この水晶に手をおくのじゃ。」

目の前に大きな水晶が置かれる。


(これって...もしかして鑑定系の道具か?)

「これは?」

「......これは、魔力量や種族がわかる道具じゃ。とりあえず早く手を置け。」


どうやら人間以外にも種族はいるらしい。


言われた通りに手をおくと、水晶が青く光る。

「...ヒト、錬金魔法、魔力300弱かの。ほれ、名前は?」

「…無常です。」

言うべきか迷ったが言う事にした。下の名前は別にいいだろう。

「ムジョウ?変な名前じゃの。ムスリムじゃダメなのか?」

「そろそろぶっ飛ばすぞジジイ。」

そんなこんなで冒険者カードを作った。

____________________

ぐだぐだしたなぁ

役所で出来ない人が担当だったらイライラするよね

こんな事で異世界との共通点見つけたくなかった。

くさぁ

____________________



その後、ゴブリンの魔石を換金し、宿を取り、キノコ風味のグラタンらしき物を食べながら、村の女性達と話していった。

なお、その時の配信画面の殺意の言葉は見なかった事にした。


次の日


「どれ、このゴブリン討伐なんかどうじゃろう。」

今日は路銀を稼ぐために冒険者ギルドに来た。

ゴブリンは1匹で100エニー。魔石が別売りで10エニーで売れる。

魔石は魔道具などの道具に使われるのでいつでも需要があるという。

「他の依頼は?」

「?」

「ほぉ!かぁ!のぉ!い!ら!い!はぁ!?」

耳元で大きく叫ぶ自分。どうやらマジで聞こえないらしい。

「このポーション納品とかかの。」

「ポーション?」

____________________

キタ!

テンプレ!

テンプラ!

錬金魔法にあってんじゃん!

____________________


「ポーションと言うのは作れるんですか?」

「...逆にお前は錬金魔法が使えるのに知らんのか?」

この世界の事なんて赤子レベルで知らねぇからな。


「はい。」

「…まぁそういう奴もおると言う事だろう。」

この爺さん、目が笑ってねぇ。怪しく思われているのだろうか?


「ここでポーションの作り方がわかるところはありますか?」

「…いや、ねぇな。」

どうやら教えてはもらえないらしい。

つか、口調がかわったな。

昨日から思っていたが、この爺さん、僕の事を怪しんでいるな。

早くこの世界の常識を身につけないとな。


「わかりました。でしたらこのゴブリン討伐の依頼を受けます。」

爺さんの眼光が少し収まる。

「…ほらよ。討伐証明は右耳だ。さっさと行きな。」

出る時に玄関にある本棚の背広を触りながら出た。


この村って女性以外碌な奴が居ない、そんなことを考えながら森に歩いていくと例の門番に会った。

「もう出ていくのか?」

相手の声がうわずいているのがわかる。

「いや、ゴブリン討伐のための依頼で。」

チッと舌打ちが聞こえた。

どうやらこいつは昨日渡したゴブリンの指輪が5エニー(女の子たちとの会話によると)だったためか、僕の事が嫌いらしい。

「…旅人があんまりこの村で調子乗んなよ。開門!」


____________________

『そんなにガチで恨まれるような事したっけ?』

200エニーの価値が無い物をあげたからからとか?

あ、もしかしてコイツ村の女性達と仲良くなっているのが妬ましいんじゃねぇの?

俺達からも妬まれたんだ。現地の男達に妬まれないわけがない。

____________________

「しょうがない奴だな。」

まぁ分からなくはない。僕だって嫉妬ぐらいするしな。


まぁそう言ったことは置いといて、今回の目的はゴブリン討伐じゃない。

今回は村の外に拠点を作りに来たのだ。


「ここに拠点を作ろうと思う。まぁ工房みたいな物だ。」

____________________

本格的に配信者として生きてるなお前。

場所も配信すんの?

工房、それは魔術厨の願望なり。

材料はあの門番の魂ですか?

____________________

「いや、場所は公開しない。今から30分間の間配信を中止しよう。」

配信は一日に一時間だけ非公開にすることが出来て、しかも余った時間はその時間を貯金する事ができる。

もちろんトイレに行く時や体を拭く時は配信を止めている。

「じゃあ、また30分後にね。」

配信を非公開にしてから気配察知でゴブリンが集まっているところを探す。

…やはりそう簡単には見つけられないか。

自分が歩いてきた方向とは違う方向に向かう。

身体能力が上がったおかげで魔力消費がほとんど無しで木から木へと移動できる。


…いた。


洞窟だろうか?そこに40以上いるのがわかる。

あと一人だけ妙に図体がデカい。


洞窟前には2匹の見張り役。時間が惜しいので即座に殺そう。

木々からジャンプし、上空からの一閃。創造と錬金で作った二刀の双剣は見張り達の頭をカチ割り、絶命させた。

「錬成!」

洞窟前の土で洞窟を封鎖する。

「創造、気化した麻酔薬」

最近わかった事なのだが、何をどうするのかをしっかり口にする事で魔力消費量が減り、生成速度が上がる事がわかった。恐らく、他のスキルも似たような感じなのだろう。

洞窟の中に気化した麻酔薬を流し込み、様子を見る。

最初の頃は中でギャアギャア喚く声が聞こえたが、10分もすれば無くなった。

「錬成」

洞窟内の空気を換気し、手で触れたゴブリン達を立方体の肉塊にしていく。

総数は全部で57匹。大きい個体が1匹だった。

「配信再開っと。」

配信再開すると待機していたのであろう何万人かが一気に数字に現れる。

なんか嬉しいね。こう、人に待たさせるくらいの期待感を持ってもらえるのって。

「ハロハローニーハオーこんにちわー」

____________________

まぜんな

暗いな

明るさ調整できるぞ

ハロハロ

こんにちわ

アニハセオ^^

あってるそれ?

____________________

「で、はいこれ。ゴブリンね。もちろん全部生きてるよ。」

____________________

???

ゴブリン?

なんかの荷物に見えるんだけど。

あ…

キッショ

おい!

???

これ、緑。ゴブリン、何色?

____________________

「常識じゃ考えられない光景を見てしまった貴方達は1/3のSAN値チェックです。

____________________

最低

マジかよコイツ。

俺でもそんな事しねぇよ。

こんな多くも…

やりすぎだろ!

見るのやめます。

____________________

「けど、これを放って置いたらあの村娘達に被害がいくんだよ?」

____________________

じゃあ仕方ないな

まぁゴブリンだし。

仕方ないな

弱肉強食

村娘優先

無常最強!無常最強!

村娘で抜けましたありがとうございます。

村娘!村娘!

貴方には人の心がないんですか!

それ、どうすんの?

なんか一つだけデカくね?

____________________

ホント、手のひらにドリルでも付いてんのかな?

「工房の材料にするよ。この一つだけ大きいのはゴブリンリーダーだよ。全部麻酔薬で眠らせたんだ。」

口も塞いだんだ。うるさくもない。

「さて、工房の材料は揃った。作り始めるよ!」
























  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る