第114話

「だって、千沙ちゃんは母さんの娘になる子ですもの」



「はぁあ!?」



「あんたと結婚するんでしょ?」



「なに、言ってんだよ! もう出かけるからな」



「はいはい。行ってらっしゃい」



ったく、本当に調子が狂う!!



俺は乱暴に玄関を閉めたのだった。


☆☆☆


強の後ろにカナタが乗っていて、俺は力耶の後ろに乗ることになった。



赤旗は最近はほとんど1人暮らしのアパートにこもっているらしい。



カナタや、側近たちが心配して様子を見に行っているということだった。



赤旗本人は家から出られない状態か……。



ふつふつと、俺の中で怒りが湧いてくる。



赤旗をそこまで追い詰めたやつは、一体誰だ。



そして、手の刺青を思い出していた。



カナタには、あの刺青がない。



あの刺青は赤旗のマークではなく、赤旗を飲み込もうとしている連中のマークだ。



そして、そのマークは確実に増えてきている。



どんどん、勢力を増しているのだ。




そう考えているうちにバイクは北区へ入り、住宅街を抜け、そして古びたアパートが目に入った。



カナタの指示で強のバイクが止まる。



ここが、赤旗のいる場所か……。



俺はあちこちひび割れた外観を見上げた。



部屋はどこもカーテンがひかれていて、中が見えない。



力耶がバイクを止め、俺は先に下りていたカナタの元へとかけよった。



「ここの、2階の端です」



「案内、たのむ」



「はい」



そして、俺たち4人はアパートへと足を踏み入れたのだった。

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