第96話

元気そうでよかった。



俺がジッとその様子を見ていると、アツシが隣にきた。



「千沙ちゃん?」



「あぁ。元気そうだな」



「まぁ、今はね? 恋羽や、他の子と一緒に強の家にいるのも楽しいみたいだね」



「そうか……」



アツシの言葉に、ホッとする。



強の家に泊まる事を決めたのは俺だが、千沙がそれをどう感じるか、正直不安だったんだ。



「でも、お前が刺されたことで今のまだ夜中に目が覚めているらしい。あ、これは恋羽情報な」



「俺のせいで、眠れていないのか?」



「生活に支障が出るほどじゃないみたいだけど、よくうなされてるってよ」



それは仕方ないことかもしれない。



千沙の目の前で刺されちまったんだもんな……。



俺は勢いよく立ちあがると、「千沙のところへ言ってくる」と言い残し、教室を出たのだった。

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