第81話

「桃花ちゃん!?」



「久しぶり、千沙ちゃん」



ニコニコと綺麗な笑顔を浮かべる桃花ちゃん。



まだ、強と付き合ってたんだ……。



まぁ、強の場合は付き合うというより、遊びなんだろうけれど……。



「ねぇ、その子知り合い?」



恋羽にそう言われ、あたしは慌てて桃花ちゃんを紹介した。



出会った理由については、曖昧にしか話さなかったけれど、恋羽はなんとか理解してくれたようだ。



「で、どうしてあたしたちがここに呼ばれたの?」



ひととおり自己紹介を終えてから、あたしは力耶と強に視線をうつした。



今は、みんなでテーブルを囲んで座っている。



「今日からしばらくの間、みんなにはここで生活してもらう」



力耶の突然の言葉に、あたしたち女子は全員言葉を失っていた。



ここで暮らす?



ここって、強の家でって、ことだよね?



「それってどういうこと?」



そう聞いたのは恋羽だった。



「ここにいる女はみんな、チームにとって守らなきゃいけない女たちだ。できるだけ、目の届く場所に置いておきたい」



へ……?



守らなきゃいけない女たち……?



力耶の言葉に、あたしは大志の顔を思い出していた。



「事態は切迫してきている。また、女が誘拐される可能性だってある。だから、しばらくはここで全員で生活してもらう。もちろん、俺の親にも了承済みだ」



強が、そう言った。



どうやら、冗談で言っているようではなさそうだ。



「俺の親の車で一旦家に戻って、必要最低限のものだけ持って来るといい。絶対に、1人では出歩くなよ」



「まぁ。堅苦しく考えずに女子会だと思えばいいさ」



力耶がそう言い、軽く笑った。



女子会かぁ……。



あたしと恋羽は目を見あわせる。



桃花ちゃんは、『チームにとって守らなきゃいけない女たち』と言ってもらえたことを、すごく喜んでいる様子だった。



瞳ちゃんも、「こんな大人数で一緒にいるの、久しぶり」と言って、エクボを見せて笑った。



みんなと一緒の生活も、いいかもしれない。



楽しそうだし、それで大志が安心するなら。



「あたし、ここにいる」



「千沙がOKなら、あたしもOKだよ」



こうして、しばらくの間強の家にお世話になることが決まったのだった。

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