第75話
~力耶side~
ライブハウスで瞳を助けた翌日、俺は学校の図書室でパソコンを借りていた。
もちろん、瞳の言っていた星の入れ墨について調べるため。
普段図書室なんて使わないから、俺が入っていったとたん、生徒たちの視線が突き刺さる。
場違いだってことくらい、ちゃんとわかっている。
俺は生徒達の視線を感じながらパソコン利用の許可をもらうと、さっそく壁際の席にすわった。
ここなら、誰にも邪魔されることはないだろう。
パソコンを立上げ、ネットに繫ぐ。
最新のデスクトップパソコンは、さすがに反応が早い。
すぐに検索をかけると、様々なサイトが標示された。
俺は、それを1つず丁寧に確認していく。
だいたいが、星に関係するサイトだったが、その中で1つだけ気になるサイトがヒットしていた。
自ら体に彫った星型の入れ墨を公開している個人サイト。
その星が、瞳の言っていたものに近いのかどうかわからなかったが、俺はその画像を印刷することにした。
そのサイトの運営者は、入れ墨を掘ってくれる場所も紹介していて、それを確認するとちょうど北区にある店の住所ものっていた。
これは、本格的にあやしいぞ……。
印刷された用紙を手に、俺はゴクリと唾を飲みこんだのだった。
☆☆☆
それからは真面目に授業を受け、放課後になってから俺は瞳に連絡をしていた。
一応、昨日俺の番号を渡すだけでなく、瞳の番号も聞いておいたのだ。
2度目のコール音で、瞳は電話をとった。
「もしもし、昨日の俺だ」
そう言いながら、名前を教えていなことを思い出した。
《俺俺詐欺?》
昨日とは打って変わって、元気で明るい瞳の声が返ってきて、ホッとする。
やっぱり、あの時薬は全部吐いてしまったのだろう。
「詐欺じゃねぇ。俺の名前は力耶だ」
《力耶? へぇ、いい名前じゃん》
「そりゃどうも。ところで、お前学校は終わったか?」
《学校? そんなの最初から行ってないよ》
「は? またさぼりか?」
《違うよ。あたし学校行かずにアルバイトしてんの。
お父さん蒸発しちゃって。お母さんは水商売してるんだけれど、男ができたみたいで、あんまり家に帰ってこないし、家に入れるお金も減っちゃってね》
軽い感じでそう言う瞳に、俺は一瞬言葉を失いかける。
「そうか。だったら、今暇か?」
《うん。今日はついさっき終わって着替えているところ》
「聞きたいことがある。今から向うから、バイト先を教えろ」
《なに? ナンパ?》
「違う。誰がお前なんかナンパするかよ」
《ひっどぉい!》
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます